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英ジョンソン首相、10月中旬まで議会閉会 合意なき離脱阻止の動き封じ込みへ

2019年8月29日(木)10時00分

ジョンソン英首相は10月中旬まで議会を休会とする方針を表明した。10月末の欧州連合(EU)離脱期限までの議会の審議時間を大幅に短縮し、合意なき離脱阻止に向けた議会の動きを封じ込める考えとみられる。写真は同日、ロンドンの英議会(2019年 ロイター/Henry Nicholls)

ジョンソン英首相は28日、10月中旬まで議会を休会とする方針を表明した。10月末の欧州連合(EU)離脱期限までの議会の審議時間を大幅に短縮し、合意なき離脱阻止に向けた議会の動きを封じ込める考えとみられる。

ジョンソン首相は、議会開会を正式に宣言する女王演説を10月14日に設定し、エリザベス女王はこれを容認した。これによって、議会は9月中旬から10月14日まで閉会され、10月17─18日に開催のEU首脳会議までに残された時間はわずか数日、EU離脱までは2週間強となり、合意なき離脱の可能性が強まる。

ジョンソン首相は記者団に対し、離脱を巡り討議する時間は「十分にある」と強調。EU離脱を遅らせる議会の動きを阻止することを狙っているかとの質問に対しては「そのようなことは全くない」と応じた。

与野党議員は反発。野党・労働党の有力議員であるマクドネル議員はジョンソン首相の動きを「英国のクーデター」と批判した。

ジョンソン政権に対する内閣不信任決議案が提出される確率も高まっており、可決されれば総選挙が行われる可能性も出てきた。

労働党のコービン党首は時宜にかなえば、内閣不信任案を提出する意向を表明。与党・保守党で、合意なき離脱に反対するグリーブ議員も、内閣不信任投票が実施される可能性が高いとの見方を示した。

バーコウ下院議長は、「明白な」議会の審議妨害に向けた動きで、民主主義に反すると批判した。

市場調査会社ユーガブが28日に発表した調査によると、1カ月余りの議会休会を支持するとの回答は全体の27%にとどまる一方で、反対は47%となった。

ただ欧州連合(EU)離脱支持派に限れば51%が休会を支持した。

調査はタイムズ紙の依頼で5734人を対象に実施した。

トランプ米大統領はツイッターへの投稿で「ボリス(ジョンソン首相)は英国の望んでいることを実行している」とし、コービン労働党・党首の目指す不信任案の可決は困難と指摘。「ジョンソン氏が『素晴らしい』ことは証明される!英国に愛を」と述べた。

合意なき離脱の可能性が高まる中、ポンドは急落。一時、対ドルでは6日ぶり安値、対ユーロでも約1週間ぶり安値を付けた。

※内容を追加しました。

[ロンドン 29日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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