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頭蓋結合の双子サファとマルワ、ロンドンで分離手術受け成功

2019年7月20日(土)16時43分

頭部でつながった結合双生児として生まれた2歳のサファちゃんとマルワちゃんは、頭蓋骨、脳そして血管を分離する手術を受けた。Fayaz Aziz - REUTERS

頭部でつながった結合双生児として生まれた2歳のサファちゃんとマルワちゃんは、頭蓋骨、脳そして血管を分離する手術を受けた。

16日、取材に応じた主治医らは、今までで最も難しい手術だったと振り返った。

「脳を分離して頭蓋骨の上部を修復することが重要だ」と整形外科医のデイビッド・ダナウェイ教授は語った。「そして2人が、それぞれ1人の人間として生きていけるようにしなければならない。」

パキスタン出身のサファちゃんとマルワちゃんは2017年、頭蓋骨と脳の一部が結合する「頭蓋結合体」として生まれた。

分離手術には、バーチャルリアリティや3Dラピッドプロトタイピングといった最新技術が用いられた。これらの技術により医師は、双子の脳と血管の画像を使って、事前に手術の計画と練習を行うことができた。

「2人の頭部を修復して、最後に脳を戻してあげないといけない」とダナウェイ教授。「だから分離したら、はい終わり、というわけではない。」

手術は今年2月、ロンドンの病院で行われ、2人はその4カ月後に退院した。もう1人の主治医である小児神経外科のオワセ・ジーラニ医師は「2人の将来について断定するには時期尚早だが、現在は順調に回復している。今後も回復を続けるだろうと楽観している」と述べた。

毎年、全世界でおよそ50組が頭蓋結合双生児として生まれてくる。そのうち生後30日以上生存できるのは、わずか15組ほどに過ぎない。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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頭蓋骨、脳そして血管を分離する手術を受けたパキスタン出身のサファちゃんとマルワちゃん VOA News / YouTube

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