最新記事

東南アジア

選挙で与党が全議席獲得!? カンボジア下院選、野党弾圧で海外から批判

2018年8月16日(木)13時30分

8月15日、カンボジアで7月29日に実施された下院選(定数125)で、与党のカンボジア人民党が全議席を獲得した。写真はカンボジア人民党のポスター。プノンペンで7月撮影(2018年 ロイター/Pring Samrang)

カンボジアで7月29日に実施された下院選(定数125)で、与党のカンボジア人民党が全議席を獲得した。中央選挙管理委員会が15日発表した。野党は選挙結果の結果が違法だと主張しているほか、米国は反民主活動を行った個人へのビザ制限を拡大すると示唆した。

人権団体は、同国で30年以上政権の座に就いているフン・セン首相には有力な対抗馬がおらず、選挙は自由と公正さを欠いたとみている。

唯一の有力野党だったカンボジア救国党は昨年、「政府転覆計画に関与した」とするフン・セン首相の訴えを最高裁が認めたため、解党。党員118人は5年間、政治活動を禁止された。ケム・ソカー党首は9月に反逆罪で勾留され、引き続き公判前勾留の状態にある。

当局は選挙前に、非政府組織(NGO)や人権団体、独立系メディアに対しても取り締まりを行った。

選管の広報担当者はロイターに対し、人民党は690万票中480万票を獲得したと説明した。

第2位は、ノロドム・ラナリット王子が率いるフンシンペック党で37万4510票だった。王子はかつてフン・セン氏の最有力のライバルだったが、現在は協力関係にある。

救国党の副党首で海外亡命中のMu Sochua氏は、新しい議会は合法ではないと主張。「人民党は、民主的に選出された政府により拒否された偽りの選挙を通じ、国家全体に関するすべての決定をたった1人が下す一党独裁制へとこの国を導こうとしている」と批判し、「不正選挙は、合法的な議会を成立させることはできない」と糾弾した。

選管によると、投票率は83%で前回2013年時の69.6%を上回った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-ECB、銀行資本要件の簡素化提

ワールド

米雇用統計とCPI、予定通り1月9日・13日発表へ

ワールド

豪が16歳未満のSNS禁止措置施行、世界初 ユーチ

ワールド

ノーベル平和賞受賞マチャド氏の会見が中止、ベネズエ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中