最新記事

ユネスコ

ユネスコ脱退の背景に世界遺産めぐる対立、アメリカとイスラエルが表明

2017年10月13日(金)15時30分
ジョン・ハルティワンガー

世界遺産などをめぐって対立が深まっていた(写真はパリのユネスコ事務局) Philippe Wojazer-REUTERS

<アメリカとイスラエルが来年末にユネスコからの脱退を表明。パレスチナにある世界遺産の聖地などをめぐってイスラエルとユネスコが長年対立してきた経緯が>

アメリカとイスラエルは12日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)から来年18年末に脱退すると事務局に通告したことを明らかにした。主な理由として、ユネスコの「反イスラエル的」な姿勢をあげている。両国の脱退表明の背景には、世界遺産などをめぐってユネスコと長年対立してきた経緯がある。

イスラエルは今年7月、ユネスコがヨルダン川西岸にあるパレスチナ自治区の「ヘブロン旧市街」を世界遺産に登録すると決定したことに猛反発。怒ったイスラエル政府は国連への拠出金を100万ドル削減すると表明した。

「ユネスコの新たな妄想的な決断だ」と、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は怒りを露わにした。「ユネスコはヘブロンにあるユダヤ人の父祖の墓を、ユダヤ教徒のものではなく、パレスチナの世界遺産として危機遺産リストに追加した。信じ難い」

ヘブロンには、ユダヤ人の祖先にあたるアブラハム、イサク、ヤコブとその妻たちが埋葬されていると信じられている墓と、「イブラヒム・モスク」と呼ばれるイスラム教の史跡の両方があり、ユダヤ教とイスラム教の両方の聖地となっている。ヘブロン旧市街には約20万人のパレスチナ人と、イスラエル治安部隊が警備するユダヤ人入植者数百人が居住し、衝突が頻発している。

イスラエルは昨年2016年にも、エルサレムの聖地に関するユネスコの委員会決議に反発した。決議の中で、聖地の呼び名がユダヤ名の「神殿の丘」でなく、イスラム名の「ハラム・アッシャリーフ」とだけ記載されたことを問題視し、ユネスコはユダヤ教と聖地の関係を無視したと批判した。

当時、米大統領選の民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官はイスラエルを擁護し、ユネスコが「ユダヤ人の持っているエルサレムや聖地との深く歴史的な繋がりを無視する決議案」を採択しようとしていると非難し、「失望しているし、間違っている」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

商品市場が急落、次期FRB議長にウォーシュ氏指名で

ビジネス

みずほFG、10ー12月純利益は14%増の3299

ビジネス

みずほFG、自社株取得枠を3000億円に拡大 従来

ビジネス

世界のインフレ率は低下へ、貿易統合の深化必要=IM
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 6
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 7
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 10
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中