ロシアのプーチン大統領が、米政府に対して制裁をエスカレートさせて「報復合戦」を仕掛ける可能性は低い。米国に打撃を与える制裁は、同時に弱々しいロシア経済の回復を危うくする恐れがあるからだ。

ロシアは先週、米議会が対ロシア制裁強化法案を可決したことを受け、米政府に対して駐ロシアの大使館や領事館のスタッフ1200人のうち755人を削減するよう要請し、米政府が保有する2施設を差し押さえると表明した。

一見、強力な対抗措置のように見えるが、ロシアの対応は米側の制裁強化に比べて軽微だった。米制裁は、ロシアのエネルギー部門を対象としているほか、対ロシア融資の規制強化も視野に入れて、すでに実施された制裁についてトランプ大統領が緩和することを困難にする内容だ。

ロシア側の対抗措置が比較的軽かったことは、経済規模が約14倍の米国に対し、ロシアが打撃を与えるため選択できるカードが限られていたことを示している。

一方で、ロシア政府が、来年3月の大統領選に向けて経済の健全性を心配していることも示している。

2014年に米国と欧州連合(EU)が、ウクライナからクリミア半島を併合したロシアに対する制裁に踏み切った際、ロシア政府の報復は、西側からの食品輸入を制限するという比較的軽い内容だった。

「理性が感情に勝った結果だった。今回も全く同じ対応を予測している」と、モスクワを拠点とするコンサルティング会社マクロ・アドバイザリーのクリス・ウィーファー氏は言う。「(報復策は)米国に一定の嫌がらせをしつつも、国際投資を呼び込んで経済成長をはかるロシア政府の政策の邪魔をしないものになるだろう」

ウィーファー氏は、トランプ米大統領が制裁強化法案に署名した段階で、プーチン氏がさらなる報復措置に出ると予測するが、その場合もロシアと緊密な関係を持つ米企業は対象にならないとみている。

第3期プーチン政権は経済成長鈍化