最新記事

米ロ関係

プーチン縛るロシア経済の停滞 米トランプと「制裁合戦」余力なし

2017年8月3日(木)19時18分

8月1日、ロシアのプーチン大統領が、米政府に対して制裁をエスカレートさせて「報復合戦」を仕掛ける可能性は低い。写真はフィンランドで7月撮影。提供写真(2017年 ロイター/Lehtikuva)

ロシアのプーチン大統領が、米政府に対して制裁をエスカレートさせて「報復合戦」を仕掛ける可能性は低い。米国に打撃を与える制裁は、同時に弱々しいロシア経済の回復を危うくする恐れがあるからだ。

ロシアは先週、米議会が対ロシア制裁強化法案を可決したことを受け、米政府に対して駐ロシアの大使館や領事館のスタッフ1200人のうち755人を削減するよう要請し、米政府が保有する2施設を差し押さえると表明した。

一見、強力な対抗措置のように見えるが、ロシアの対応は米側の制裁強化に比べて軽微だった。米制裁は、ロシアのエネルギー部門を対象としているほか、対ロシア融資の規制強化も視野に入れて、すでに実施された制裁についてトランプ大統領が緩和することを困難にする内容だ。

ロシア側の対抗措置が比較的軽かったことは、経済規模が約14倍の米国に対し、ロシアが打撃を与えるため選択できるカードが限られていたことを示している。

一方で、ロシア政府が、来年3月の大統領選に向けて経済の健全性を心配していることも示している。

2014年に米国と欧州連合(EU)が、ウクライナからクリミア半島を併合したロシアに対する制裁に踏み切った際、ロシア政府の報復は、西側からの食品輸入を制限するという比較的軽い内容だった。

「理性が感情に勝った結果だった。今回も全く同じ対応を予測している」と、モスクワを拠点とするコンサルティング会社マクロ・アドバイザリーのクリス・ウィーファー氏は言う。「(報復策は)米国に一定の嫌がらせをしつつも、国際投資を呼び込んで経済成長をはかるロシア政府の政策の邪魔をしないものになるだろう」

ウィーファー氏は、トランプ米大統領が制裁強化法案に署名した段階で、プーチン氏がさらなる報復措置に出ると予測するが、その場合もロシアと緊密な関係を持つ米企業は対象にならないとみている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政府の代表団乗せた飛行機、パキスタンに到着 イラ

ビジネス

経産省、ラピダスへの6315億円の追加支援決定 総

ワールド

宇宙船オリオン、4人乗せ地球に無事帰還 月の裏側を

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 7
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中