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サイエンス

老化はもうすぐ「治療できる病気」になる

2016年12月30日(金)19時49分
ロナルド・ベイリー(米リーズン誌サイエンス担当)

 加齢とともに進行する様々な病気の治療法は、目覚ましい進歩が続いている。例えば癌患者の5年生存率を見ると、1975年は50%だったのが、今日は68%まで上昇した。アメリカにおける心臓疾患や脳卒中の割合も、1975年は年間で10万人当たり130~500人だったが、今では35~175人まで減少した。

 インフルエンザや肺炎による死亡率も、1999年には10万人当たり24人だったが、2013年には16人まで低下した。さらに1980年代後半から2000年代前半にかけて、インフルエンザや肺炎による65歳以上の死亡率はほぼ半減した。

 もし体が若い状態を保てるなら、病気の犠牲者はもっと抑えられるだろう。研究者らは老化を引き起こす化学反応の誤作動を次々に特定しており、老化を遅らせ、若返りすら可能にする治療の開発にも取り組んでいる。

 なかでも期待が集まるのが、ミトコンドリアの修復と置き換えに焦点を絞った研究だ。ミトコンドリアは細胞の中に数千単位で存在し、エネルギーを生み出す器官だ。加齢とともに異常を生じ、機能が低下すると細胞内部に有害な化学物質を吐き出す。

 カリフォルニア工科大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームは11月、ショウジョウバエの遺伝子の活動を人工的に増加させることで、筋肉組織内にあるミトコンドリアのDNAの変異を見つけて破壊することに成功した。この技術により、老化現象を引き起こすとされる変異型ミトコンドリアDNA(mtDNA)の細胞内の割合は、75%から5%に低下した。

幹細胞を活性化

「細胞内で変異型mtDNAの割合が増えると、早期の老化現象を引き起こすことは分かっていた」とカリフォルニア工科大学の生物学教授であるブルース・ヘイは説明した。「今回の研究成果に、加齢で機能が衰える神経や筋肉といった重要な組織には変異型mtDNAが蓄積しているという事実を照らし合わせると、もし変異型mtDNAを減らすことができれば、老化を遅らせ若返りを実現できることになる」

 また老化が進むと、古い細胞に替わって新しく健康な細胞を増殖する「幹細胞」の数が減少する。最近の研究で、体内のエネルギー代謝に欠かせない「ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド(NAD+)」を人工的に増やせば、幹細胞を活性化できることが分かった。

 NAD+の前身である「ニコチンアミドリボシド」を使ったサプリメントを老化したマウスに投与すると、筋肉の回復や、新しい脳細胞の生成を促す効果があった。米科学誌サイエンスは2月16日に掲載した論説で、NAD+に着目した一連の研究について、「病気の予防や寿命を延ばすための治療法を確立するうえで、NAD+を人工的に増やす手法に期待が集まっている」と評価した。

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