最新記事

シンガポール

シンガポール企業の破綻増加か、銀行が社債の借換えに及び腰

2016年11月1日(火)19時20分

10月31日、ロイターのデータによると、2017年末までに償還期限を迎えるシンガポール企業の社債は124億米ドル強に達する見通し。しかし銀行は資源セクターへの貸し出しに及び腰のため、今後は企業の経営破綻が一段と増加しそうだ。写真は同国の金融街。2014年4月撮影(2016年 ロイター/Edgar Su)

 ロイターのデータによると、2017年末までに償還期限を迎えるシンガポール企業の社債は124億米ドル強に達する見通しだ。しかし銀行は資源セクターへの貸し出しに及び腰のため、今後は企業の経営破綻が一段と増加しそうだ。

 シンガポール企業のバランスシートは既に逼迫(ひっぱく)している。ロイターが非金融企業228社の上半期決算を調べたところ、純債務のコア利益に対する比率がクレジットアナリストが懸念を抱く目安とされる5倍を超えている社が74社に達し、3分の1では純債務のコア利益に対する比率が10倍以上だった。

 シュローダーズ・インベストメント・マネジメントの日本を除くアジア信用調査部門のヘッド、Raymond Chia氏は「シンガポール企業は2009年以降、経営破綻が起きない状態が続いていたが、昨年から今年にかけて破綻が相次いだ。コモディティ関連に限らず多くのセクターにとって、借り換えを巡る信頼が危機に直面していることを示す危ない兆候だ」と話す。

 シンガポールでは資本市場が抱える構造的な問題から、企業が世界的な貿易の落ち込みや中国の成長鈍化の影響を受けやすい。

 中央銀行が昨年発表した資料によると、シンガポールは2014年時点でシンガポールドル建て社債のへの投資の約半分をプライベートバンクが占めていた。

 プライベートバンクの市場参入に伴って小規模な社債発行が増えており、アナリストによると、こうした案件は格付け会社の審査を受けておらず、富裕な個人投資家を対象にしているという。

 ドイツ銀行のアジア信用調査部門のヘッドのハルシュ・アガルワル氏は「これらの起債のほとんどは格付けを受けておらず、格付け会社による審査から漏れている。その多くはプライシングが適正ではなく、高利回り債の部類に属するのに投資適格級のように扱われている」と話す。

 足元ではこうした不適正なプライシングの修正が進んでいるが、その際に企業で大きなコストが発生している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

仏大統領、6月G7サミット後にトランプ氏を夕食会に

ワールド

レバノンは食料安保の危機と国連、イスラエル攻撃の南

ワールド

米EU 、 重要鉱物確保で合意間近と報道 中国支配

ワールド

台湾3月輸出額、初の800億ドル突破 AI関連需要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡散──深まる謎
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 7
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 8
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 9
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 6
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中