最新記事

サミット

安倍首相、消費増税再延期へ、サミットで経済状況リーマン級の危機と各国に説明

財政出動への支持取り付けと消費増税延期への地ならしをサミットで行う

2016年5月27日(金)09時40分

5月26日、安倍晋三首相は、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の世界経済を討議するセッションで、コモディティ価格が「2014年以降55%下落しており、リーマン・ショック前後と同様」とするデータを各国に提示した。写真はG7に出席した各国首脳。代表撮影(2016年 ロイター)

 安倍晋三首相は26日、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の世界経済を討議するセッションで、コモディティ価格が「2014年以降55%下落しており、リーマン・ショック前後と同様」とするデータを各国に提示した。

 しかし、現状の経済状況が「危機」に当たるかどうか異なる意見も表明され、首脳宣言の文言について、あす27日の発表ギリギリまで調整が続く見通しだ。

 セッション後に世耕弘成官房副長官が明らかにした。安倍首相が示した資料では、エネルギー価格の下落率がリーマンショック後と同じ規模になっていると指摘。

 新興国の投資伸び率が「リーマン・ショックより低い水準まで低下」したことや、新興国の国内総生産(GDP)の伸び率や輸入伸び率も「リーマン・ショック以降で最も低い水準」とし、リーマン・ショック時との比較を繰り返した。

 もっとも、世耕氏によると、ある1人の首脳からは「クライシスとまで言うのはいかがなものか」との指摘があり、最終的な文言調整は首脳の補佐役であるシェルパ(首脳の補佐役)間での協議に持ち越された。日本の消費税率引き上げをめぐる議論は行われなかった。

 一方、主要7カ国(G7)は機動的な財政政策と構造改革の推進で一致。世耕副長官によると、ある首脳から「財政出動を含む3本の矢が大事」との発言を引き出したという。

 さらに中間層の利益拡大に向け、財政出動が果たす役割について、首脳間で認識を共有した。

 ただ、安倍首相は「財政出動のタイミングや規模については、各国の事情を反映する必要がある」と述べ、一定の配慮を見せた。

 サミットに先立って開かれたG7財務相会議では、ドイツのショイブレ財務相が「最も重要なのは構造改革」と述べるなど、財政出動では必ずしも各国の足並みがそろったわけではなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏、来年半ばに新たな志願兵役制導入へ 18-19歳

ビジネス

ドイツ消費者信頼感指数、12月は予想通りマイナス2

ワールド

ウクライナ、EUに凍結ロシア資産活用の融資承認を改

ワールド

米韓軍事演習は「武力」による北朝鮮抑止が狙い=KC
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 9
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 10
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中