最新記事

人道問題

終わらない内戦と迫害で増え続ける難民の悲劇

史上最悪の難民危機を数字で見ると。

2015年7月6日(月)18時08分
ルーシー・ウェストコット

国を追われて 命懸けで海に出たミャンマーの少数民族ロヒンギャ族 Antara Photo Agency - REUTERS

 世界全体で122人に1人が難民──国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が先週、昨年の状況を調査した年次報告書を発表した。

 難民数が過去最悪に達した主な原因は、シリアで続く内戦だ。11年に始まった武力衝突により、同国では既に400万人近くが国外へ避難。そのうち95%はレバノンなどの近隣国に逃れている。国内避難民は約760万人に達し、アサド政権と反体制派、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の戦いに巻き込まれて命を失う危険の中で生きている。

 UNHCR報告書の数字から、難民の現状を見てみると──。

5950万人 紛争や迫害によって避難を余議なくされた人の数。04年末は3750万人、13年末には5120万人だったが、昨年は大幅に増加した。世界の人口が72億人だとすると、122人に1人が難民となる計算だ。

1390万人 昨年、新たに難民となった人の数。10年当時の4倍に上っている。

51% 世界の難民に、18歳未満の子供が占める割合。昨年の難民庇護申請件数は170万件だったが、そのうち3万4300件が主たる保護者がいない子供だった。こうした子供たちの大半は、政情が不安定なエリトリア、シリア、ソマリア、アフガニスタンの出身だ。

15カ国 過去5年間に紛争が勃発、あるいは再燃した国の数。内訳は、アフリカ8カ国(コートジボワール、中央アフリカ、リビア、マリ、ナイジェリア北東部、コンゴ民主共和国、南スーダン、ブルンジ)、中東3カ国(シリア、イラク、イエメン)、アジア3カ国(キルギスタン、ミャンマー〔ビルマ〕の一部、パキスタン)、ヨーロッパ1カ国(ウクライナ)だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「気持ち悪い」「恥ずかしい...」ジェニファー・ロペ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中