最新記事
考古学

1万5800年前の欧州に「漁網」が存在していたことが判明...最新技術が可視化した「初の物的証拠」とは?

2025年4月4日(金)18時35分
アリストス・ジョージャウ(科学担当)
漁網

漁網(写真はイメージです) Geet Theerawat-Shutterstock

<ドイツにある後期旧石器時代の遺跡から見つかったのは──>

最終氷河期に当たる1万5800年前の遺物に、驚くべき彫刻が見つかった。昨年11月に科学誌PLOS ONEに掲載された論文によれば、ドイツのライン川岸にある後期旧石器時代のゲナースドルフ遺跡で発見された石の飾り板に、網のような格子模様と魚が描かれていた。

【画像】最新技術で石から浮かび上がった網のような格子模様と魚

「ヨーロッパ先史時代に漁網が使われていた初の物的証拠だ」と、論文の筆頭執筆者である考古学者ジェローム・ロビタイユは語る。これまでも漁網の存在を示す間接的証拠はあった。今回は高度な画像技術の反射率変換画像(RTI)で400枚以上の石を調査し、明確な画像を示した。「RTIの『鏡面反射光強化』モードは、通常の照射では見えない微細な線を識別可能にする」と論文にはある。


「当時の社会で、漁業が重要な役割を果たしていたことが示唆された。漁業は生存戦略であり、芸術表現にもなり得た」と、ロビタイユは言う。

<参考文献>

Robitaille, J., Meyering, L., Gaudzinski-Windheuser, S., Pettitt, P., Jöris, O., & Kentridge, R. (2024). Upper Palaeolithic fishing techniques: Insights from the engraved plaquettes of the Magdalenian site of Gönnersdorf, Germany. PLOS ONE, 19(11), e0311302. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0311302

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国、エヌビディアが独禁法違反と指摘 調査継続

ワールド

トルコ裁判所、最大野党党首巡る判断見送り 10月に

ワールド

中国は戦時文書を「歪曲」、台湾に圧力と米国在台湾協

ビジネス

無秩序な価格競争抑制し旧式設備の秩序ある撤廃を、習
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中