最新記事
SDGsパートナー

SDGsが生まれる前から...庄内地域で「食の安全」のその先へ、50年以上にわたる生活クラブの挑戦

2024年10月17日(木)11時30分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
庄内遊佐太陽光発電所

庄内遊佐太陽光発電所 奥に写る鳥海山からの伏流水がすぐ近くの月光川を流れ遊佐町の田んぼに流れているため、発電所では除草剤を一切使わない

<生活クラブは、50年以上にわたり山形県庄内地域で「ローカルSDGs」を推進してきた。食の安全の追求からエネルギーの自給、「参加する暮らし」の実現まで、幅広い活動により、持続可能な地域社会の構築を目指す>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

SDGsという枠組みが生まれるよりもずっと昔から、50年以上にわたって地域に根差した生産者との協力体制の構築を進め、安心できる食の国内生産を持続可能なものにする取り組みを行ってきた組織が日本にある。1965年に発足した「生活クラブ」だ。

生活クラブは、北海道から兵庫県まで約42万人の組合員を抱える生活協同組合だ。遺伝子組み換え品は取り扱わないなど、独自の基準で食の安心・安全を追求してきた。

その活動は、食料品の開発・供給だけにとどまらず、「豊かな地域づくり」にまで発展している。山形県北西部に位置する庄内地域でのプロジェクトも、そのひとつだ。

食の安全のその先へ。地域づくりを展開する生活クラブ

newsweekjp20241016031642-2153c402d78506a09ffb4ae993607e097e326ca5.jpg

飼料用米圃場 主食用米と区画を分け栽培している

生活クラブが山形県遊佐町農協と連携し、米の生産を始めたのが1972年のこと。その後も、豚を1頭まるごと買い上げて、組合員同士で工夫しながら無駄を出さない消費に取り組んだり、「輸入飼料ではなく米を食べさせてはどうか」という交流会での提案をもとにブランド豚「米育ち豚」の展開を始めたりと、地域に結びついた活動を行ってきた。

2012年に入ると、生活クラブは遊佐町・JA庄内みどりと「地域農業と日本の食糧を守り、持続可能な社会と地域を発展させる共同宣言」を締結し、地域循環共生圏つまり今で言う「ローカルSDGs」の推進を加速させてきた。

さらに2019年には、工場跡地を利用して、約7万枚のソーラーパネルによる「庄内・遊佐太陽光発電所」を設立。ここで発電した電気は庄内で利用され、余剰電力も生活クラブの組合員が共同購入し、収益は庄内の地域作りや環境保全に活用される仕組みだ。

今年も「丸餅文化圏(※)」としての庄内を継承するための餅加工場の整備や、地域の居場所づくり等、9つの事業と活動に約1900万円の助成を予定している。

※東日本では角餅が一般的だが、庄内地域は丸餅が食される。江戸時代の北前船交易の名残だと言われている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過去最高水準に
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中