最新記事

温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体

2026年3月15日(日)10時40分
佐野 雅昭 (鹿児島大学水産学部教授*PRESIDENT Onlineからの転載)
温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体

Usa-Pyon -shutterstock-

<地球温暖化による食資源の変化に、どう向き合えばいいか。鹿児島大学教授の佐野雅昭さんは「北海道の周辺海域ではサンマやスルメイカ、サケなどの漁獲量が減少した代わりに、激増した魚がいる」という>

※本稿は、佐野雅昭『日本漁業の不都合な真実』(新潮社)の一部を再編集したものです。

採算の取れないサンマよりこの魚の有効利用を

地球温暖化による海水温上昇を最小限に抑制することはもちろん大切で、温室効果ガスの排出量を減らすように、経済・産業活動と日常生活を大きく変容させる必要があります。

しかし、そうした取り組みはすぐに成果が出るものではありません。漁業における目下の課題は、海洋生態系の変化を受け入れ、それに柔軟に対応していくことです。


例えば、日本近海からいなくなった魚を追いかけて漁場を遠くまで拡張する、いっそその魚を養殖する、という発想があります。

「サンマ試験養殖に成功」という報道がありましたが、そうした研究は面白そうではあっても現実的ではありません。

養殖場は水族館ではないので、食料として養殖するには少なくとも数万尾を、低コストで飼育する必要があります。サンマは安いから需要があるのであって、高いサンマは誰も買いません。

安く、大量に生産できないなら養殖に成功したとは言えないのです。しかし現実には養殖の餌料コストが大きく上昇し、既存の養殖業でさえ採算性が失われつつあります。

養殖ビジネスは「作れば売れる、売れれば儲かる」ような簡単なものではないのです。環境が変わって減る魚がいれば、増える魚も必ずいます。

減少する魚を追いかけるのでなく、新たに増えた魚を利用する技術や新しい需要を柔軟に創造するほうが建設的です。

まちづくり
川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に──「世界に類を見ない」アリーナシティプロジェクトの魅力
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、レバノンと数日内に協議へ ヒズボラと戦

ワールド

北朝鮮の金総書記、多連装ロケット砲の発射訓練視察=

ワールド

ロシアがイランに無人機「シャヘド」供与=ゼレンスキ

ワールド

トランプ氏、カーグ島再攻撃を示唆 イランとの取引「
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 3
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 4
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 5
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 6
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中