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晩酌

「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法

2026年3月1日(日)16時51分
和田 秀樹 (精神科医*PRESIDENT Onlineからの転載 )

アンチ・エイジングはいらない

【帯津】私はね、いつでも死後の世界に呼ばれたら行こうと思い始めたんですよ。そしたらフットワークもよくなって、日々の生活が少し充実してきた感じがします。

【和田】生き方が軽やかで素敵です。例えば同じく東大の医学部を卒業しても、教授になるために競争とか蹴落としに明け暮れる人がいます。


【帯津】多いですよね。私はそういうのは興味がなかったけど。

【和田】僕もです。仮に東大教授になれても65歳とか70歳で引退するわけです。だったら出世にこだわって歪(いびつ)な人間関係の下でストレスを抱えて生きるより、帯津先生みたいに毎日をときめいて生きる。そのほうが年をとってからもハッピーだと思うんです。

【帯津】世間ではよく「アンチ・エイジング」なんて言うでしょ。だけど年齢には抗えない。老化と死っていうのは神の摂理みたいなものですからね。

【和田】必ずやってくる。

【帯津】はい。だから私は「ナイス・エイジング」を目指そうと言っています。老化と死があることを認めてしまうんです。受け入れたうえで、老化に楽しく抵抗しながら、自分なりの養生を果たしていく。そして最後は「生と死の統合」を目指す。死後の世界に期待するわけですよ。

【和田】生と死の統合?

【帯津】はい。人生の幸せな後半生ではナイス・エイジングを毎日心がけ、ときめきをキャッチして生命を躍動させる。エンジンをブブーンとふかせば、この年齢でも健やかで活気に満ちた毎日を過ごすことができます。

【和田】なるほど。晩年にエンジンをふかすわけですね。

【帯津】そう! そして、あわよくばその勢いのままあの世に乗りこんでいく(笑)。人生の終わりにエネルギーを減らすのではなく、逆に増幅していく。そんなふうに私は考えているんですよ。これが生と死の統合です。

病気を治すのは医師ではない

【和田】先ほどクリニックに美人の女性が2人訪ねてきました。

【帯津】患者さんです。もう一人は彼女のお友達かな。

【和田】先生と笑顔で手を振り合っているので、親しい友人みたいに見えました。

【帯津】私はね、患者さんと心を通わせることが一番大事だと思っていましてね。だから白衣も着ません。診察の妨げになると思ってるんですよ。医者の権威をまとうより、普段着にサンダル履きのほうが親しみやすい。

【和田】素晴らしいですね。

【帯津】医者と患者は同じ病に向き合う仲間という意識でね。そのほうが自然治癒力も上がると私は思っているんですよ。

【和田】私も精神科医なので、それはよくわかります。

【帯津】そう言えば、和田先生、選挙に出たそうですね。

【和田】いえ、選挙に出たわけではないんですけど。「幸齢党」という政党を作りましてね。選挙に出るつもりだったんですけど、立候補者の人数が足りなかったので、今回は東京でひとり応援させていただくのに留まりました。まあでも、1回目は惨敗でした。高齢者の幸せを目指すので「幸齢党」と名付けました。

【帯津】そうでしたか。高齢者の幸せを目指すってのはいいですね。医者の私が言うのも変ですが、病院へ行ったからといって病気が治るわけではないですからね。病気を治すのはやはり、もともと人間が持っている自然治癒力です。そして自然治癒力を高める最大の原動力はときめきです。ときめいている患者さんは、ほぼ例外なく症状がよくなっていきますからね。

【和田】まったく同感です。それなのに現実は免許の返納を促したり、働く意欲と能力のあるお年寄りを悪い労働環境で雇ったりする。高齢者の割合が増えているんだから本当は現役世代との「共生社会」を目指すべきなのに、逆を行ってるんです。

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