最新記事
日本企業

ドル急変に追われる日本企業...組織改変やヘッジ多様化

2025年4月23日(水)08時53分
米国の100ドル紙幣と日本の1万円札

為替市場の急変に機動的に対応できるよう、日本の輸出企業が組織や決済権限の変更を議論する動きが加速している。写真は、米国の100ドル紙幣と日本の1万円札。2013年2月、東京で撮影(2025年 ロイター/Shohei Miyano)

為替市場の急変に機動的に対応できるよう、日本の輸出企業が組織や決済権限の変更を議論する動きが加速している。特に、米関税が直撃する自動車や半導体の業界で顕著だとの指摘も聞かれる。トランプ米大統領はドル安志向とみられ、先行き円高傾向が続くとの見通しの下、少しでも利益の減少を食い止めようと為替予約にも工夫を凝らす。

為替実務に柔軟化の動き

年初から20円近く進む円高に利益を削られる輸出企業にとって、具体的な対応が急務だ。ある邦銀関係者によると、社長をトップとするプロジェクトチームを立ち上げ、これまで財務部門を中心に行われてきた為替対応の検討を、経営層を巻き込んで全社的な議論に広げつつある企業も少なくない。今後の円高進行時の採算と事業への影響を危惧する企業が増加しているという。


 

複数の邦銀関係者によると、為替リスクへの対応としては主に、これまで海外の現地法人に委ねてきた為替予約の機能を本社に統合することを話し合う動きも出てきている。自動車や半導体など関税の影響が直撃する分野で、特に活発化していると、1人の邦銀関係者は話す。

三菱UFJ銀行トランザクションバンキング部グローバル財務戦略グループの増田典昭次長は「大幅な為替変動に伴う差損・差益が地域ごとに相違する状況になると、企業の地域・事業別採算に影響が及び、商流の再編や値上げなどの対応を迫られるケースも出てくるかもしれない」と指摘する。

米関税の行方次第で「輸出数量も大きく影響を受ける可能性があり、ドル/円相場のボラティリティーが高い中、特に貿易取引に携わる実務担当者は難しいかじ取りを迫られる」と、ニッセイ基礎研究所の上野剛志・主席エコノミストは話す。

試写会
『おばあちゃんと僕の約束』トークイベント付き特別試写会 5組10名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

リオ・ティントのスタウショーンCEOが年内退任、後

ワールド

米首都銃撃でイスラエル大使館員2人死亡、親パレスチ

ワールド

景気「緩やかに回復」維持、米関税リスク引き続き注視

ワールド

中国・オランダ外相が会談、グローバルな課題で協力深
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 4
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 5
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 6
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    子育て世帯の年収平均値は、地域によってここまで違う
  • 9
    米国債デフォルトに怯えるトランプ......日本は交渉…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「自動車の生産台数」が多い…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 4
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 5
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 9
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 10
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中