最新記事
EV

ホンダ・日産がEV分野で提携、「ソフト開発」加速...三菱自動車も合流へ

2024年8月1日(木)20時28分
日産

8月1日、ホンダと日産自動車は、検討してきた業務提携を具体的に進めるための覚書を締結したと正式発表した。写真は日産のロゴ。ニューヨークで3月撮影(2024年 ロイター/David Dee Delgado)

ホンダと日産自動車は1日、検討を進めてきた電気自動車(EV)分野を中心とする業務提携に関する覚書を締結したと正式発表した。販売後もソフトウェアで機能や性能を更新できる車両「SDV」向けプラットフォームの共同研究、電池、EV駆動装置「イーアクスル」の共通化、車両の相互補完、国内充電サービスなどで協業する。

両社で技術を持ち寄り開発スピードを加速するほか、規模拡大でコスト競争力を高め、EVで先行する米中勢に対抗する。巨額の開発コストを分担し、投資負担を抑える。


 

日産が34%超を出資している三菱自動車も同日、ホンダ・日産の枠組みに参画する方向で協議を進めると正式に発表した。

同日会見したホンダの三部敏宏社長と日産の内田誠社長は、EVで先行する米テスラや中国BYDとの差は「スピード」とみており、三部社長は「試合は始まったばかり。まだ十分戦える」と説明。内田社長も「素晴らしい技術があっても事業化できなければ意味がない」と語り、協業を通じて対抗する意欲を示した。

三部社長は、SDV向けプラットフォームについて「基礎要素技術の共同研究に合意し、すでに研究を始めている」といい、「1年後をめどに基礎研究を終えることを目指し、成果が出れば量産化の可能性を検討する」と説明。同プラットフォームを搭載した車は「30年の手前くらいには出したい」と語った。

内田社長は、5つの協業領域の中でも「特にキーとなるのがソフトウェアだ」と指摘。アプリの追加や更新で新たな付加価値を顧客に迅速に提供したり、電力マネジメントを高度に知能化してEVの省電力性を向上させたり、自動運転の技術も進化させることを狙うと話した。三部社長はまた、ソフトの開発費は額が大きいため投資負担軽減の点でも協業は「メリットが非常に大きい」と述べた。

電池については、両社の計画している電池がどちらの車にも搭載できるようEV向けセル・モジュールの仕様を共通化する。ホンダがLGエナジーソリューションとの合弁会社で生産する電池を、日産が28年以降に北米で供給を受けることも検討する。

EV基幹部品のイーアクスルでは、モーターやインバーターを両社で共用し、中長期的に仕様の共通化を図る。車両の相互補完はEVのほか、ガソリン車でも検討する。

資本提携の可能性について内田社長は「現時点で検討していない」といい、三部社長も「ビジネスの可能性として否定するものではないが、話をしていない」と述べた。

日産は仏自動車ルノーと企業連合を組んでいるが、内田社長は、ホンダと協業を進めても「ルノーとの関係がなくなるわけではない。さまざまなパートナーと協業しながらさまざまな成長をつなげていく」と話した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 AIの6原則
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月22日号(7月15日発売)は「AIの6原則」特集。加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」/仕事・学習で最適化する6つのルールとは


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

OPEC月報、石油需要予想据え置き 年後半の世界経

ビジネス

米GM、ガソリンエンジン搭載ピックアップとSUV増

ワールド

トランプ氏「ベセント氏は次期FRB議長の選択肢」、

ビジネス

FRB、インフレ抑制へ当面の金利据え置き必要=ダラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 5
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 6
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中