最新記事

経済制裁

バイデン、ロシア産天然ガス輸送のノルドストリーム2事業会社に制裁「追加措置辞さない」

2022年2月24日(木)09時52分

バイデン米大統領は23日、ロシア産の天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「ノルドストリーム2」の事業会社ノルドストリーム2AGとその幹部に対し制裁を科すよう政権に指示したと表明した。2020年2月撮影(2022年 ロイター/Maxim Shemetov)

米政府は23日、ロシア産の天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「ノルドストリーム2」の事業会社ノルドストリーム2AGと同社のマティアス・ワーニヒ最高経営責任者(CEO)に対し制裁を発動した。ウクライナ東部の親ロシア地域の独立を承認し軍派遣を命じたロシアへの対抗措置を強化した。

バイデン大統領は声明で、米政権はノルドストリーム2への対応を巡りドイツと緊密に連携していると述べた。

「これらの措置はウクライナにおけるロシアの行動に対抗する制裁措置第1弾の一環」とし、ロシアが攻撃的な姿勢をさらに強めれば、「追加措置も辞さない」という考えを改めて示した。

ノルドストリーム2AGはロシアの国営天然ガス会社ガスプロムの子会社で、スイスに本拠を置く。パイプラインはまだ稼働しておらず、ドイツと欧州連合(EU)の承認待ちとなっていた。

ドイツのショルツ首相は22日、ノルドストリーム2の承認停止を発表。米政府は対ロシア制裁の第1弾として、主要2銀行や特権階級層などに対する制裁措置を発表した。

米財務省は、ノルドストリーム2AGとの取引を3月2日までに解消することを可能にする手続きを取った。

ホワイトハウスによると、ノルドストリームの運営会社で株主委員会会長を務めるシュレーダー元独首相は制裁の対象に含まれない。

ノルドストリーム2はガスプロムが完全所有しているが、費用は半額だけ出し、残りはシェル、オーストリアのOMV、仏エンジー、独ウニパー、ウィンターシャルが負担した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ウクライナ危機で分断される欧州 米と連携強める英 宥和政策の独 独自外交唱える仏
・【ウクライナ侵攻軍事シナリオ】ロシア軍の破壊的ミサイルがキエフ上空も圧倒し、西側は手も足も出ない
・バイデン政権、ロシアのウクライナ侵攻準備を懸念「偽旗作戦の工作員が配置された」
・経済を理解しなければ、ウクライナでプーチンが「賭けに出る」理由は分からない


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中