最新記事

投資

株式市場に殺到する中国の個人投資家 シャオミなど米政府のブラックリスト企業が人気

2021年1月25日(月)09時07分

中国では「株価上昇に乗り遅れまい」とする個人投資家が、株式市場に殺到している。上海の証券ボード前で2016年2月撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

中国では「株価上昇に乗り遅れまい」とする個人投資家が、株式市場に殺到している。最新データによると、昨年12月に開設された新規の株式投資口座は160万件以上と、前年の2倍に達した。

本土の高揚感は香港にも波及。香港上場の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)、小米科技(シャオミ)といった銘柄には、株式相互取引制度を通じて大量の本土マネーが流入している。

中国の証券決済機関のデータによると、中国の個人投資家は昨年末時点で前年比11%増の1億7740万人。過去10カ月は毎月100万人以上が取引口座を開設している。


上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数は最高値をうかがう展開。政府は不動産投資を抑制する一方、イノベーションの促進に必要な資金を個人の株式投資を通じて集めることを目指している。

政府が思い切った資本市場改革を進めていることや、中国経済が新型コロナウイルス危機から急ピッチで回復していることも、市場の楽観ムードを強める要因となっている。

中国国営メディアの証券時報が19日報じたところによると、中国のEファンド・マネジメントが18日にローンチした株式ミューチュアルファンドは販売初日に応募が過去最高の2370億元(366億ドル)となり、調達額の上限である150億元の16倍近くに達した。国内個人投資家の株式投資熱の高まりが浮き彫りになった形だ。

本土の投資家は19日、株式相互取引制度を通じて、過去最高となる266億元(34億3000万ドル)相当の香港株を購入した。

米政府が人民解放軍と関係があるとしてブラックリストに掲載した企業には、年明けから中国の投資家が安値拾いの買いを入れている。中芯国際集成電路製造(SMIC)、中国海洋石油(CNOOC)、テンセント、シャオミといった銘柄だ。

華夏基金のポートフォリオマネジャー、リチャード・パン氏は19日遅くに開いた香港株の投資説明会で「大きな魚がいるところで釣りをするように、優れた企業があるところに投資しよう」と訴えた。

クレディ・スイスの香港・中国リサーチ担当責任者、エドモンド・ファン氏は、本土の投資家による香港株投資について、米国の投資禁止令で投資チャンスが生まれたことや、香港株が相対的に割安であることが理由だと分析している。

香港株式市場のハンセン指数はこのところ上昇しているが、本土上場のA株は、依然として香港上場のH株を30%以上上回る価格で取引されている。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



ニューズウィーク日本版 岐路に立つアメリカ経済
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月3日号(5月27日発売)は「岐路に立つアメリカ経済」特集。関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中