最新記事

コロナショック

インバウンド効果消えた関西経済 コロナ倒産秋口から急増か

2020年7月31日(金)17時56分

新型コロナウイルスの感染拡大で、外国人に人気でインバウンドの恩恵を受けてきた関西圏はとりわけ大きな打撃を受けた。写真は関西国際空港で3月撮影(2020年 ロイター/Edgard Garrido)

新型コロナウイルスの感染拡大で、外国人に人気でインバウンドの恩恵を受けてきた関西圏はとりわけ大きな打撃を受けた。地元の銀行は苦境に陥る観光業などの資金繰り支援に全力を挙げるが、コロナの影響が長期化すれば、倒産が急増し、地方銀行の財務健全性が揺らぐリスクもある。政府は金融機関に公的資金を注入しやすくする法改正を実施。融資で企業を守り抜くことで、金融システム不安の回避を狙う。

最大のコロナ倒産は大阪の観光業

関西はここ10年近くインバウンドで盛り上がってきた。ここは支えないと――。関西みらいフィナンシャルグループ<7321.T>の菅哲哉社長はロイターのインタビューでこう述べた。

インタビューの直後、大阪経済の苦境を示すニュースが飛び込んできた。6月30日、関西みらい傘下のみなと銀行の取引先である旅行業のホワイト・ベアーファミリー(本社=大阪市北区)が大阪地方裁判所に民事再生法の適用を申請。負債総額は278億円で、コロナ関連倒産では最大となった。

みなと銀は12億3700万円の貸出金のうち、担保などで保全されていない8億円について今年度第1四半期に全額引き当て処理する。もっとも、関西みらいの今期の与信費用は125億円。業績目標は変更しなかった。菅社長はインタビューで与信費用について「予防的な置き方をしており、現時点で(実際の費用が予想を)超えるとは思っていない」と説明した。

ホテル業界は「悲惨な状況」

心斎橋にあるホテル日航大阪の呉服弘晶総支配人は「大阪のホテル業界は悲惨な状況だ」と話す。呉服氏によると、大阪市内のホテル客室数は15年の5万室から20年には9万室まで急増。供給過剰にコロナ禍が重なり、経営環境は急速に悪化した。

都道府県別で見た19年の訪日外国人観光客の宿泊数では大阪府が2位、京都府が5位。京都市内のホテル・旅館は6月末時点で664と、15年度末比で24.8%増えた。京都駅周辺にはここ1―2年で開業したホテルが目立つ。

京都銀行<8369.T>の土井伸宏頭取は「インバウンドが戻るにはあと2―3年はかかるだろう」と話す一方、国内観光客の戻りに期待感を示した。「(観光関連の)器が大きくなり過ぎたので、ある程度小さくしないといけないかもしれないが、戦略や工夫次第では新しいビジネスが可能だ。再生のチャンスは他の都市よりはあると思う」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル一時155円台前半、介入の兆候を

ビジネス

米国株式市場=S&P上昇、好業績に期待 利回り上昇

ワールド

バイデン氏、建設労組の支持獲得 再選へ追い風

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中