最新記事

日本企業

父娘確執で経営迷走した大塚家具、ヤマダ電機傘下で再建へ 43億円で子会社に

2019年12月12日(木)18時14分

ヤマダ電機 は、経営再建中の大塚家具 を約43億円で子会社化すると発表した。写真は大塚久美子社長。都内で2015年5月撮影(2019年 ロイター/Yuya Shino

ヤマダ電機は12日、経営再建中の大塚家具を約43億円で子会社化すると発表した。業績不振が続く大塚家具は、業務提携関係にあるヤマダ電機との協業を深め、再建を目指す。大塚久美子社長は会見で「引き続き全力を尽くす」と述べ、社長続投の意向を示した。

ヤマダ電機は大塚家具が実施する第三者割当増資を引き受け、発行済み株式総数の51.34%を取得する。12月30日の払い込み完了を予定している。大塚家具の株式数はほぼ倍増する。

大塚家具は国内市場が飽和する中、販売が低迷。創業者と社長との間で委任状争奪戦が起きるなど、経営が迷走していた。

大塚社長は「単に家具を提供するだけの企業ではなく、生活提案できる企業になるためにヤマダ電機と提携した。今回の提携で、暮らしの新しい選び方を提案する」と述べた。当初、大塚家具から株主づくりの一環としてヤマダ電機に株の保有を打診したところ、ヤマダ電機から大規模な資本提携の提案があったという。

今回の提携は、事前に父である勝久氏に伝えたという。

一方、山田昇会長は、大塚家具の経営状況について「最悪の状況にあった」としたうえで「今期の状況を把握したうえで、来期の黒字を目指す」と述べた。山田会長は、大塚家具は粗利益率が高く、信用を回復し、少し売り上げが伸びれば、黒字化できるとの見通しを示した。ただ、同会長の考え方は「結果主義」だとも述べ、来期黒字化の目標が達成できなかった場合には、再度、大塚社長の進退問題が浮上する可能性もある。

大塚家具は、2017年11月に貸し会議室業のティーケーピーと業務・資本提携、19年2月にヤマダ電機と業務提携を結んだものの、11月に発表した19年1─9月期決算は29億1800万円の営業赤字、30億6200万円の最終赤字だった。

大塚家具は今後、ヤマダ電機と商品を共同開発するほか、インターネット販売を強化するなどし、業績の改善を目指す。

大塚家具はヤマダ電機との資本提携発表に合わせ、20年4月期の業績見通しを未定に変更した。従来は営業黒字1億5700万円、最終黒字2500万円を見込んでいた。

(久保信博 清水律子 編集:石田仁志)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、エヌビディアが独禁法違反と指摘 調査継続

ワールド

トルコ裁判所、最大野党党首巡る判断見送り 10月に

ワールド

中国は戦時文書を「歪曲」、台湾に圧力と米国在台湾協

ビジネス

無秩序な価格競争抑制し旧式設備の秩序ある撤廃を、習
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中