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参院選、比例「特定枠」の曖昧さと地域間格差
この「鳥取・島根」選挙区ですが、次回の参院選は島根出身者が選挙区に出て、鳥取の候補は「特定枠」に回る、そんな運用を前提とした制度なのです。では、どうして「選挙運動が禁止」なのかというと、「運動したのに得票数が少ない」と不信任を受けた印象になるので、そもそも運動を禁止しておくという発想のようです。その結果、有権者から見れば信任を得たかどうか不明な政治家が、任期6年の参議院議員として当選することになりました。
またせっかく一票の格差を是正するために「定数是正」を行なったのに、人口減少県の代表数は事実上確保されてしまっているという問題もあります。この点も批判されてしかるべきでしょう。
一方で、この「特定枠」を別の意味で活用したのが「れいわ新選組」です。特定枠に重度の障がい者の候補を立てて、党首の山本太郎氏の集票力を使って2人を当選させたのです。つまり「選挙運動ができない」制度を逆手に取って、「障がいのために選挙運動が難しい」候補を当選させるのに使ったというわけです。発想としては興味深いですが、れいわの「作戦」も参院の選挙制度安定化への真摯な姿勢とは少し違うように感じられます。
この「特定枠」を生み出した「定数是正」ですが、昨年2018年7月に成立した「6増案」が今回から適用されるものです。自民党が「鳥取・島根」と「徳島・高知」の2つの合区で使うために、比例代表を4議席増(一回の選挙では2増)としたのに加えて、埼玉選挙区を2議席増(一回の改選では1増)としたものです。
問題は、この埼玉(定数8議席、改選4議席)とか東京(定数12議席、改選6議席)あるいは大阪(定数8議席、改選4議席)といった大選挙区があるという点です。
例えばですが、「1人区」と「6人区」では、同じ一票であっても選択の機会が全く違うわけです。1人区の場合は、自民系か旧民主・民進系の選択になることが多いわけです。特に今回の場合は、「野党共闘」候補も多かったので、そうなると一部の有権者としてはまさに消去法の選択を強いられるわけです。
一方で大都市の場合は「選択の幅」がそれこそ「自民、公明、旧民主・民進系、維新系、共産」というバラエティに富んでいて、有権者は投票行動に際して、より自分の観点に近い選択をすることが可能になります。この地域格差というのは、それ自体が不安定なものを抱えているように思います。
いずれにしても、参院については現在の選挙制度が最終的な確定形であるとは、とても考えられません。それにもかかわらず、解散のない参院では当選した議員には6年の任期が与えられるわけです。あらためて選挙制度に関する真剣な議論が必要と思います。
一つの考え方としては、衆院を小選挙区制にした一方で、参院は全国を30くらいの中選挙区にして、いずれも定数は4にする中で選択の幅を確保するということが考えられます。あるいはその延長上に人口減少に直面した都道府県の「合県」ではなく「道州制」を考えていくとか、いずれにしても抜本的な議論が必要ではないでしょうか。
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