ニュース速報

ワールド

ロシア、ナワリヌイ氏30日間勾留決定 欧米各国が一斉に非難

2021年01月19日(火)08時59分

 ロシアに帰国直後に拘束された反体制派指導者ナワリヌイ氏(44)について、司法当局は1月18日、連邦警察の要請通りに30日間の勾留を認めた。モスクワに到着後、飛行機を降りるナワリヌイ氏、17日撮影。(2021年 ロイター/Polina Ivanova)

[モスクワ 18日 ロイター] - ロシアに帰国直後に拘束された反体制派指導者ナワリヌイ氏(44)について、司法当局は18日、連邦警察の要請通りに30日間の勾留を認めた。裁判で数年にわたる禁錮刑が言い渡される可能性があり、国連のほかドイツなどの西側諸国が同氏の即時釈放を訴えている。

昨年8月の毒殺未遂事件後、ドイツで療養していたナワリヌイ氏は17日、帰国直後にモスクワの空港で警官に拘束された。

ロシア連邦検察は裁判所に対し、同氏の30日間の勾留を認めるよう要請。同氏の広報担当者、キラ・ヤルミシュ氏はこの日、「裁判所は2月15日までの勾留を認めた」とツイッターに投稿した。裁判で数年にわたる禁錮刑が言い渡される可能性がある。

ナワリヌイ氏は警察署内からツイッターにビデオを投稿。「これは最大限の無法だ」とし、刑法を尊重していないとしてプーチン大統領を非難。「自分たちの将来のために、恐れずに街頭に出てほしい」と述べ、支持者に対し政府への抗議活動を実施するよう呼び掛けた。

モスクワではこの日、厳しい寒さにもかかわらず、同氏が拘束されている警察署の周りに約200人の支持者が集まり、釈放を訴えた。

抗議活動における拘束者状況を追跡する人権団体「OVD-Info」によると、ロシア国内ではこの日、70人以上のナワリヌイ氏支持者やジャーナリストが拘束された。

ナワリヌイ氏の支持者、レオニド・ボルコフ氏は23日に全国的なデモを実施するとツイッターに投稿した。

<対ロ追加制裁の可能性も>

国連はナワリヌイ氏の拘束を「深く懸念」していると表明。法令に基づく手続きを取るよう要請し、同氏の即時釈放を訴えた。

ドイツ、英国、フランス、イタリアの外相が即時釈放を訴えたほか、チェコの外相はロシアに対する制裁措置を検討するよう呼び掛けた。リトアニア、ラトビア、エストニアも欧州連合(EU)外相がこの日、追加的な対ロ制裁について討議するよう訴えた。欧州が追加制裁を導入する場合、独ロのパイプライン建設計画「ノルドストリーム2」が対象になる可能性がある。

米国もナワリヌイ氏の拘束を非難。バイデン次期政権で国家安全保障担当の大統領補佐官に就任するジェイク・サリバン氏がロシア政府に対し釈放を呼び掛けたほか、ポンペオ国務長官も深い懸念を表明した。

<ロシアは非難を一蹴>

ロシア外務省は国外からの非難を一蹴。ラブロフ外相は記者団に対し、西側諸国は自国が抱える国内問題から国民の関心をそらすためにナワリヌイ氏の拘束について騒ぎ立てているとし、ロシアはこうした動きによるイメージ悪化の影響は受けないと述べた。

これに先立ち、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官はフェイスブックに「国際法を尊重し、主権を侵害しないよう求める。介入は無用だ」と投稿していた。

ロシア大統領府はこれまでのところ対応を示していない。

*内容を追加しました

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

オランダ企業年金が確定拠出型へ移行、長期債市場に重

ワールド

シリア前政権犠牲者の集団墓地、ロイター報道後に暫定

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ麻薬積載拠点を攻撃と表明 初

ワールド

韓国電池材料L&F、テスラとの契約額大幅引き下げ 
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中