ニュース速報

ワールド

米国と台湾が共同インフラ計画、中国の一帯一路に対抗

2020年10月01日(木)02時21分

米国と台湾の当局者は30日、両国がインド洋・太平洋地域と中南米のインフラ計画で協力すると述べた。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に暗に対抗した形だ。写真は会見する米台当局者ら(2020年 ロイター/BEN BLANCHARD)

[台北 30日 ロイター] - 米国と台湾の当局者は30日、両国がインド洋・太平洋地域と中南米のインフラ計画で協力すると述べた。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に暗に対抗した形だ。

一帯一路は中国を欧州とアジア、その他の地域をつなぐために、道路や鉄道、施設を建設する計画。米国は、中国が「債務のわな」に各国をはめる策略だという疑念を抱いているが、中国はこれを否定している。

台湾にある米国の代表機関で、事実上の大使館である米国在台協会(AIT)は米国と台湾の新たな計画が「新興国における高品質なインフラ」を支えると説明。台湾の呉釗燮(ジョセフ・ウー)外交部長は、今回の計画が米国のインド洋・太平洋戦略と台湾の新南向政策と合致すると述べた。新南向政策は、中国依存を改め東南アジア・南アジアを重視する政策。

ウー氏は「台湾と米国の協力関係が一段階上がった」と強調。計画に投じる金額の規模や投資計画の詳細はすぐには明らかになっていない。

計画の下、米財務省と台湾の外交部(外務省に相当)が作業部会を設置し、官民共同のインフラ投資を特定・促進する。

AITのクリステンセン所長(大使に相当)は計画について、インド洋・太平洋地域で、より力強い供給網を促進する枠組みになるとし、作業部会が今秋に第1回会合を開くと述べた。

大半の国同様、米国は台湾と正式な外交関係がない。中国は台湾を自国の一部と主張している。ただ米国は台湾にとって最も重要な支援国で、軍事品の主要な調達国。中国はこれに強く反発している。

米国と台湾は今月、新型コロナウイルス禍に伴う供給網の再構築に向け、自由や民主主義など価値観を共有する「同志国」に協力を呼び掛けた。米国は経済的に中国から自立しようとしており、中国が台湾への軍事的挑発を強化する中、台湾も中国への経済的依存を和らげようとしている。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月利下げは不要、今週の利下げも不要だった=米ダ

ビジネス

利下げでFRB信認揺らぐ恐れ、インフレリスク残存=

ワールド

イスラエル軍がガザで攻撃継続、3人死亡 停戦の脆弱

ビジネス

アマゾン株12%高、クラウド部門好調 AI競争で存
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中