ニュース速報

ワールド

米国の新型コロナ死者4800人に急増、全人口の8割が外出禁止に

2020年04月02日(木)13時08分

新型コロナウイルス感染が急速に広がる米国では1日、新たに4州の知事が市民に不要不急の外出を禁じる命令を出し、これで全米の人口の8割強が封鎖の対象となった。NY市内で3月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

[ロサンゼルス 1日 ロイター] - 新型コロナウイルス感染が急速に広がる米国では1日、新たに4州の知事が市民に不要不急の外出を禁じる命令を出し、これで全米の人口の8割強が封鎖の対象となった。新型コロナ感染による国内の死者は3日間でほぼ倍増した。

ロイターの集計によると、全米の死者数は前日から925人増え4800人超となり、感染者数は21万4000人に達した。

新たにフロリダ、ジョージア、ミシシッピ、ネバダの各州が加わり、計39州と首都ワシントンで外出制限が敷かれた。ただ、トランプ大統領は連邦政府として全米対象に外出禁止令を出す必要はないとの認識を示した。

大統領はまた、国内で新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な地域への航空便を停止する案を検討していることを明らかにした。[nL4N2BP68Q]

大統領はホワイトハウスでの記者会見で「(そうした案は)当然検討している。ただ、実行に踏み切れば、非常に必要とされている業界を締め付けることになる」と述べた。

感染者が急増している「ホットスポット」への国内便が停止されれば、ニューヨークやニューオーリンズ、デトロイトなどが影響を受ける可能性がある。

米政権は前日、感染拡大を抑えるための行動指針に国民が従ったとしても、今後数カ月間で死者は10万─24万人に増えるとの予測を示した。

米国防総省の当局者は匿名を条件に、軍以外の当局に最大で10万個の遺体袋を提供するために準備を進めていると明らかにした。

感染拡大がなお深刻なニューヨーク州のクオモ知事は同日、ニューヨーク市内の公園を全て閉鎖すると発表したほか、市警に対し、一段と強力にソーシャル・ディスタンシング(社会的距離戦略)の実施を市民に促すよう要請。[nL4N2BP4A3]

「若者が依然として規則を守らず、過度に密集している状況があまりに多く見受けられる」と指摘。米海軍の病院船「コンフォート」号を見物するために集まった群衆については「無責任で自己中心的な人々だ」と批判した。

デブラシオ・ニューヨーク市長は記者会見で、月末までに治療用ベッドを追加で6万5000床確保する目標に向け、利用客が大幅に減少している20カ所のホテルに1万床を設置する合意を取り付けたと明らかにした。「これだけの収容能力を確保するのは壮大な取り組みになるが、達成可能な目標だ」と強調した。

<カリフォルニア州で感染者急増>

カリフォルニア州では感染者が前日から約1000人急増し、8000人を超えた。

ニューサム知事は、外出禁止令は一定の効果を表しているが、州内の呼吸器を備えている集中治療室(ICU)のベッドが6週間で足りなくなるとの見通しを示した。

そのうえで、市民が厳格に自宅に待機し、他人との接触を回避すれば、感染拡大ペースをさらに鈍らせることができ、追加の治療用ベッドも必要なくなると訴えた。

知事は「ニューヨーク州の状況とは全く異なるし、今後もそうであることを願うが、人々が物理的な距離を保ち、対策に貢献し続けなければ、状況は変わるだろう」と警告した。

コネチカット州のラモント知事は、州内の生後6週の乳児が新型コロナで死亡したと発表、「誰でも感染する可能性があることが改めて明らかになった」と語った。

フロリダ州のデサンティス知事はFOXニュースに対し、新型コロナ感染者を含む計2500人が乗船しているクルーズ船2隻について、州南部フォート・ローダデールへの入港を地元ブロワード郡が認める可能性が高いと明らかにした。

「病院に患者が殺到することを懸念しているが、実際に行く必要がある人は恐らく少数で、対応可能だと想定している」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中