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アングル:インドで投機マネーリスク増大、債券投資勧誘が裏目

2018年05月12日(土)09時18分

 5月7日、インド準備銀行(中央銀行)が、外資による短期債券市場への投資を呼び込むために規則変更に乗り出したが、投機資金が流入して市場がさらに不安定化し、逆効果になる恐れがある。写真はインドルピー紙幣。2017年6月撮影(2018年 ロイター/Thomas White)

[ムンバイ/シンガポール 7日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)が、外資による短期債券市場への投資を呼び込むために規則変更に乗り出した。しかし投機資金が流入して市場がさらに不安定化し、逆効果になる恐れがある。

準備銀はこのほど、これまで期間3年物以上に限っていた外国人投資家による国内債券投資を全期間に広げるとともに、政府短期証券への投資も開放すると発表した。証券市場当局が追って開始日を発表することになっている。

インドの国債市場は最近、入札の不調をきっかけに価格が急落したばかり。入札前には準備銀が公表した金融政策会合の議事要旨が予想外にタカ派的で、利上げ懸念から利回りが跳ね上がっていた。

規制緩和により、さまざまな債券市場を渡り歩く「債券渡り鳥」の資金が流入するとともに、外資系トレーダーによる政府短期証券の短期売買が盛んになるとの懸念が高まった。

インドの金融市場は現在、(1)通貨ルピーが大幅に下落(2)原油高により経常収支の赤字が拡大(3)インフレリスクの高まりにより早期利上げの可能性が増大──という状況にあり、投機資金が流入すればさらに不安定化しかねない。

NNインベストメント・パートナーズ(シンガポール)の投資マネジャー、ジョニー・チェン氏は「(規制緩和によって)短期資金の流入が促され、ひいてはインドが長期的に投機資金とボラティリティの影響にさらされやすくなる」と案じる。

インドの債券市場は4月に大荒れとなり、外国人投資家は23億9000万ドルを売り越した。準備銀行は4日、利回りの上昇を抑えるため、オペを通じて国債を買い入れる意向を突如発表した。

インドは経常収支赤字を穴埋めし、ルピアの急落に歯止めを掛けるために多額のドル資金の流入を必要としている。しかし短期資金が流入すると長期的な投資家は怖気づいて逃げ出す恐れがある。

ルピアは年初から4.8%下落し、7日には2017年2月以来の安値である1ドル=67.0850ルピアをつけた。

10年物国債利回りは昨年7月から12月にかけて82ベーシスポイント(bp)上昇したのに加え、今年初めからさらに50bp上がっている。

あるトレーダーは「外国人投資家のリアルマネーがインド資産を大量に売っていないにもかかわらず、債券とルピーは大幅に下げた。投機筋が極端に短い期間にインドへの流出入を繰り返し始めたらどうなるか、想像するだけで怖い。こんなに目先の措置によって足の速い資金を引き付けようとするなんて、準備銀は分かっていない」と語った。

(Suvashree Choudhury記者 Krishna Merchant記者)

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