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損益やBSの悪化、ETF処分の先送り理由に「ならない」=日銀総裁

2025年05月30日(金)11時21分

 5月30日、日銀の植田和男総裁(写真)は、衆院財務金融委員会で、利上げに伴う日銀の損益やバランスシートの悪化が、保有する上場投資信託(ETF)の処分を先送りする理由には「ならないと思っている」と述べた。写真は1日、都内で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada

[東京 30日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は30日、衆院財務金融委員会で、利上げに伴う日銀の損益やバランスシートの悪化が、保有する上場投資信託(ETF)の処分を先送りする理由には「ならないと思っている」と述べた。階猛委員(立憲)の質問への答弁。

植田総裁は、金利の上昇で保有国債の利息収入が増える一方で、金融機関の超過準備への付利の支払いがかさむが、ETFの分配金収入はそうした「(収益面の)マイナスの力を打ち消す一つの要素になる」と指摘。ETF分配金収入がもしなければ、先行き日銀の財務は下押されると述べた。ただ、債券取引損失引当金や自己資本もあり、「日銀の政策が左右されることはない」と話した。「短期の政策金利の上下は、日銀の財務の状態とはかかわりなく物価安定目標の達成のために適切に行っていきたい」とも述べた。

ETFの処分については、日銀が定めた要領に基づく複数の原則を満たすような処分方法を見つけるため「時間をかけて検討している」と説明した。

日銀が28日に発表した2024年度決算では、段階的な利上げで超過準備への付利の支払いが23年度比6.6倍の1兆2517億円となる一方、ETFの分配金収入は1兆3826億円となった。

植田総裁は、6月の金融政策決定会合で行う国債買い入れ計画の中間評価に関しては「超長期を含め国債市場がどういう状況にあるか、機能度を含めてさまざまな市場参加者に意見を聞いているところ」と述べた。

階委員が、人手不足を背景に企業の行動様式が変わっており「量より価格を重視するビジネスモデルの広がり」も物価上昇の要因なのではないかと質問したのに対しては、企業の積極的な賃金・価格設定行動が続いていることは認識していると応じた。

ロイター
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