ニュース速報
ビジネス

鈴木財務相「財政圧迫する可能性」、市場動向注視と日銀総裁 長期金利上昇で

2024年05月25日(土)22時41分

鈴木俊一財務相は25日、訪問先のイタリア北部ストレーザで会見し、長期金利が12年ぶりの水準まで上昇したことについて、財政を圧迫する可能性があるとした上で、「これまで以上に引き締めて財政健全化を進める必要がある」と語った。会見に同席した日銀の植田和男総裁は、市場の動向を注視していく考えを示した。写真前列の右から3番目が植田総裁、4番目が鈴木財務相。5月24日、ストレーザで撮影(2024年 ロイター/Massimo Pinca)

Yoshifumi Takemoto Takahiko Wada

[25日 ロイター] - 鈴木俊一財務相は25日、訪問先のイタリア北部ストレーザで会見し、長期金利が12年ぶりの水準まで上昇したことについて、財政を圧迫する可能性があるとした上で、「これまで以上に引き締めて財政健全化を進める必要がある」と語った。会見に同席した日銀の植田和男総裁は、市場の動向を注視していく考えを示した。

主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後に会見した鈴木財務相は、長期金利上昇の要因について「経済情勢、金融政策、投資家の見通しやセンチメントなどさまざまな要素がある」と指摘。「低金利のもとで、国債発行することができたこれまでとは異なる金利のある世界が到来した」と強調した。

日銀の植田総裁は「短期的な金利の動向やその水準について、具体的なコメントを差し控える」とした。その上で、3月の金融政策決定会合で従来とおおむね同程度の金額で国債買い入れを継続することを決めたと説明し、そのもとで長期金利は「市場で形成されるのが基本となる」と述べた。「市場の動向を今後とも丁寧にモニタリングしていく」とも話した。

鈴木財務相によると、G7会合では為替市場の過度な変動は経済の安定に悪影響を与えるとした過去の合意を再確認した。制裁で凍結したロシアの資産をウクライナに活用する案については、国際法と整合的な形で6月のG7首脳会談に判断材料を与える作業を進めることで一致した。

植田総裁によると、会合ではロシアによるウクライナ侵攻や世界的なインフレ動向などを踏まえた経済見通しと金融政策についても議論した。植田総裁は「物価と金融の安定が持続可能でバランスの取れた経済成長の前提条件との認識が共有された」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

12月FOMCでの利下げ見送り観測高まる、モルガン

ビジネス

米シカゴ連銀総裁、前倒しの過度の利下げに「不安」 

ワールド

IAEA、イランに濃縮ウラン巡る報告求める決議採択

ワールド

ゼレンスキー氏、米陸軍長官と和平案を協議 「共に取
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中