ニュース速報

ビジネス

NZ政府、中銀に住宅市場安定考慮求める 金融政策立案で

2020年11月24日(火)15時07分

ニュージーランド(NZ)のロバートソン財務相は24日、住宅市場に関する政策の見直しを行っており、住宅価格の安定化に資する手段について中央銀行に助言を求めたことを明らかにした。写真は今年11月2日、ウエリントンで記者会見する同財務相。(2020年 ロイター/提供写真)

[ウェリントン 24日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)のロバートソン財務相は24日、NZ準備銀行(中央銀行)に対し、付託された金融政策権限の一環として住宅市場の安定を考慮するよう提案したことを明らかにした。

ロバートソン財務相は、政府として住宅市場に関する政策の見直しを行っており、住宅価格の安定化に資する手段について中銀に助言を求めたことを明らかにした。

NZ中銀のオア総裁に助言を求める書簡を送り、金融政策立案の際に住宅価格を安定させることを考慮するよう提案したという。

同相は「年末までに助言を受ける見込みだ。その後、可能な限り早期に内閣でそれを協議する」と述べた。

これを受け、中銀が来年、マイナス金利政策導入を見送るとの見方が強まり、NZドルは2018年半ば以来の高値である0.6985米ドルを付けた。

ロバートソン氏は、中銀の責務や独立性に関するいかなる変更も提案していないと言明した。

NZ中銀のオア総裁は、政府の提案を検討する考えを示した。ただ「長期的、構造的な多くの問題が影響している」とし、金融・財政規制政策だけでは課題に対処できないとの見方も示した。

同国の住宅価格は過去10年で約90%急騰しており、ここ3年だけで20─30%上昇した。これだけの上昇は誰も予想していなかった。

今年の新型コロナウイルス流行で落ち込んだ景気を支えるための歴史的な低金利と財政刺激策によって住宅相場はさらに過熱しており、減速を見込んでいた多くのエコノミストの意表を突いた。

ウエストパック銀行は先週、住宅価格の上昇率が2021年6月までに15%のピークを付けると予想。21年の年間上昇率は13%になると見込む。

ロバートソン氏はメディアに公表されたオア総裁への書簡で、住宅価格の不安定化は政府による格差および貧困削減の目標に悪影響があると指摘。

「特に金融政策がより正常な状況に戻る際には、住宅価格の上昇が経済に金融安定リスクをもたらす可能性があることも懸念している」とした。

その上で「低金利が長期化し、住宅の供給が需要に追いつくにはまだ時間がかかるとみられる中、中銀がどのように安定的な住宅市場に寄与できるかについて考えるべき時が来た」と強調。

「この取り組みは、中銀が住宅価格に責任を負うと示唆するものではなく、金融政策の影響を受けている事象に留意すべきだということを示す」とした。

経済コンサルティング会社インフォメトリクスのシニアエコノミスト、ブラッド・オルセン氏は「中銀の独立性を脅かす行為であり、中銀がいま注視する必要のある分野を提起している」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と「ディ

ビジネス

ムーディーズ、フランスの見通し「ネガティブ」に修正

ワールド

米国、コロンビア大統領に制裁 麻薬対策せずと非難

ワールド

再送-タイのシリキット王太后が93歳で死去、王室に
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 2
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任務戦闘艦を進水 
  • 3
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元に現れた「1羽の野鳥」が取った「まさかの行動」にSNS涙
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 9
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 10
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中