ニュース速報

ビジネス

東芝株保有のアクティビスト、キオクシア株の売却を要請

2020年04月07日(火)13時33分

 4月7日、東芝の株主で香港のアクティビスト(物言う株主)、アーガイル・ストリート・マネジメント(ASM)が、東芝が保有する半導体大手キオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)の株式を、キオクシアが上場する際にすべて売却するよう要請していることが分かった。写真は都内で2015年9月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 7日 ロイター] - 東芝<6502.T>の株主で香港のアクティビスト(物言う株主)、アーガイル・ストリート・マネジメント(ASM)が、東芝が保有する半導体大手キオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)の株式を、キオクシアが上場する際にすべて売却するよう要請していることが分かった。ASMが3月下旬に東芝の車谷暢昭会長(当時、現社長)に送った書簡をロイターが入手した。既存の事業の成長に集中すべきとして、保有するキオクシア株の売却益を株主に還元するよう求めている。

東芝は2018年に、ベインキャピタルが主導する企業連合に約2兆円で東芝メモリを売却。その後、3505億円を再出資し、議決権ベースで40.2%を取得した。

ASMの書簡によると、東芝のIR担当者は、東芝による再投資の背景として、東芝メモリのかなりの比率を国内勢に保有させたい政府当局の意向があったと説明したという。国内勢としては、HOYA<7741.T>も270億円出資し議決権9.9%を持っており、東芝と合わせて国内勢で過半数を占める。

ASMは、保有株売却の判断では、政府の意向を考慮すべきではないと主張している。

関係者によると、東芝は政府との間で、キオクシア上場までは保有株を売却しないという認識を共有している。ただ、上場後の縛りは特にないという。

ASMは、キオクシア株の売却益などを原資とする追加の自社株買いを東芝に要求している。東芝は昨年末までに7000億円の自社株買いを実施したが、さらに4000億円程度、自社株買いの余地があると指摘した。キオクシア株の売却益のほか、繰延税金資産を想定より取り崩す必要がないと見込まれること、社債発行で最大3000億円を調達する計画があることなどを挙げた。

東芝は2017年末、債務超過による上場廃止を避けるため、海外の複数の投資家を引き受け先にした6000億円の資本増強を実施しており、それ以降、海外アクティビストからの圧力が強まっている。東芝の株主構成は7割弱が海外投資家となっている。

東芝は「何も決定した事実はない」とコメントしている。

*本文1段落目の表現を明確にしました。

(山崎牧子 取材協力:清水律子 編集:平田紀之)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 8
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中