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物価モメンタム損なわれる恐れ、一段と高まる状況でない=12月日銀会合議事要旨
日銀が2019年12月18―19日に開催した金融政策決定会合で、大方の委員が、物価安定目標へのモメンタムが損なわれる恐れが一段と高まる状況にはなく、強力な金融緩和の継続が適切だとの認識を共有していたことが判明した。写真は2016年9月、都内の日銀で撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 24日 ロイター] - 日銀が2019年12月18―19日に開催した金融政策決定会合で、大方の委員が、物価安定目標へのモメンタムが損なわれる恐れが一段と高まる状況にはなく、強力な金融緩和の継続が適切だとの認識を共有していたことが判明した。24日に公表された議事要旨で明らかになった。1人の委員は、14年の消費税率引き上げの半年後に日銀が追加緩和を行ったことを踏まえ、消費の基調次第で今回も追加緩和が必要になる可能性に言及していた。
日銀は同会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和の継続を賛成多数で決めた。政策金利のフォワードガイダンスも維持した。
12月の金融政策決定会合に先行し、政府は経済対策を決定した。日銀の会合では、ある委員が「ポリシーミックスのもとで緩和政策を維持し、息の長い経済成長を支えることが重要だ」と指摘した。一方、1人の委員は「物価安定目標へのモメンタムは既に損なわれている。追加緩和措置を講じる必要がある」と述べた。
金融緩和の長期化に伴う副作用についても議論された。複数の委員が「低金利環境の長期化が金融仲介機能に与える影響など、副作用は十分に点検していく必要がある」との見解を示した。
1人の委員は「法人に加え個人の大口預金にも実質的にマイナス金利を適用する動きや、口座維持手数料引き上げの動きが進んでいるドイツの状況は、注視する必要がある」と指摘。ただ、複数の委員から「特定の業界や業界の一面など個別の影響だけでなく、経済・金融システム全体の安定性で副作用を考えるべきだ」との意見が出た。
また、ある委員は、国際通貨基金(IMF)が物価目標のレンジ化を提言したことについて、「物価安定へのコミットメントを弱体化させる恐れがある」と指摘した。
国際金融市場の動向については、ある委員が「高値圏の株価と比較的抑制された水準の長期金利が共存する状況の持続可能性を注視していく必要がある」と述べていた。
(和田崇彦 編集:田中志保)