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日本社会

「本屋の消滅」から「偏差値史上主義」まで...「書店員が選ぶノンフィクション大賞」が映し出した、日本の現実とは?

2025年11月19日(水)11時00分
中丸美繪(ノンフィクション作家)

大学卒業者は3割強であり、大学のほとんどは公立で無料である。

一方、実業学校に行けば、手工業から工業まで350業種もの国家資格があり、資格取得後はその分野のスペシャリストとして安定した給与を得ることができる。社会的認知度の高い最高位の職人資格マイスターとなれば独立できる。本人の特技や好きな分野を伸ばそうという制度である。

新政権は、「世界の真ん中で咲き誇る」を目指しているが、そのためには、将来をになう子供たちに向き合わなければならない。多様性を重んじる、とはどういうことであるのか。同じ教育を受けることが、平等主義なのか。矛盾を炙り出す時期ではないかと感じる次第である。


中丸美繪(Yoshie Nakamaru)
ノンフィクション作家。慶應義塾大学卒業。2025年2月、小澤征爾の一周忌に『タクトは踊る──風雲児小澤征爾の生涯 』を刊行。2024年には没後50年に合わせて小澤の師の評伝『斎藤秀雄 レジェンドになった教育家──音楽のなかに言葉が聞こえる』(決定版)を出版した。著書に『嬉遊曲、鳴りやまず──斎藤秀雄の生涯』(日本エッセイスト・クラブ賞)『オーケストラ。それは我なり──朝比奈隆 四つの試練』(織田作之助賞大賞)『鍵盤の天皇──井口基成とその血族』『日本航空一期生』など。


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