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建築

モンゴルの住まいと都市──遊牧文化に根ざした定住の姿

2025年08月20日(水)11時02分
八尾 廣(東京工芸大学工学部建築学系教授)

カラ=バルガスン遺跡

(写真9)ウイグルの時代(744-840年)に建築されたカラ=バルガスン(現在のハル=バルガス)遺跡のドローンによる空撮。高さ8m前後の版築工法による城壁で囲われた都城の周辺に、南北12キロ東西5キロの範囲に都市区画が確認できる(2024年8月撮影)。空撮した動画をYouTubeで公開している


8世紀から9世紀にかけ隆盛した東ウイグル可汗国が築城したハル=バルガス遺跡を訪問し、ドローンで撮影した(写真9)。写真奥に見える都城の西南に南北12×東西5キロメートルの範囲にわたり都市区画が今も確認できる。

オルホン川沿いの豊かな草原地帯で1300年前にどのような都市が作られていたのだろうか。その都市区画を見ながらまた、遊牧文化を起源とする今日の都市と住まいのあるべき姿について思いを巡らせている。

冒頭で紹介したガンゾリグ氏は、昨年、モンゴル国の国会議員に当選し、都市や住まいの改善に向けて政策面から取り組み始めている。私も引き続き、モンゴルの人々と共に、今後の都市部における定住のあるべき姿を模索し考えてゆきたい。


八尾 廣(Hiroshi Yatsuo)
1966年大阪生まれ。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。建築家原広司氏に師事、建築設計事務所勤務を経て1999年に独立、八尾廣建築計画事務所代表。2008年より東京工芸大学工学部建築学科准教授を経て現職。2002年 第43回 建築業協会賞(BCS賞)/小松市立 宮本三郎美術館ほか、建築設計による受賞多数。共著に『近現代モンゴルにおける都市化と伝統的居住の諸相』(東北大学東北アジア研究センター叢書)がある。


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