<65歳以上には効かない、血栓症を起こす、などの理由でEUが使用を嫌がったAZワクチンは優れたワクチンだという結果が出た。イギリス製だから叩くという狭量な対応は「副作用」も大きい>

[ロンドン発]英オックスフォード大学と英製薬大手アストラゼネカが共同開発した新型コロナウイルス・ワクチン(AZワクチン)についてアメリカで行われた第3相試験の中間分析が22日公表された。

症状を伴う感染を予防する有効性は79%、重症・重篤化や入院を100%防ぐ上、欧州連合(EU)加盟国から強い疑念が指摘された65歳以上の感染予防の有効性も80%に達することが実証された。

EU加盟国が懸念を唱えた血栓症についてもAZワクチン接種によるリスク増加は認められなかった。

接種が遅れるEUはワクチン確保のため、25、26日のEU首脳会議で、域内で製造されたAZワクチンの対英輸出禁止を協議する方針だ。EUを離脱したイギリスに対するEUの憎悪といじめが一段と浮き彫りになっている。

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AZワクチンはすでに6大陸70カ国以上で条件付き販売許可、緊急使用が承認されている。世界保健機関(WHO)による公正で平等なコロナワクチン供給を目指すCOVAXを通じて最大142カ国へ供給される予定だ。

EUの一貫性のない身勝手な対応は自分で自分の首を絞めるにとどまらず、途上国へのワクチン供給を混乱に陥れてしまう恐れがある。

最初からパンデミックと戦うために設計されたAZワクチン

最先端のm(メッセンジャー)RNAテクノロジーを使った米ファイザー製、モデルナ製ワクチンに比べ、AZワクチンは低価格で、普通の冷蔵庫でも保管できる。お金がかかるコールドチェーンを必要としないAZワクチンは最初から地球規模のパンデミックと戦うために設計されたワクチンと言えるだろう。

それぞれ地域ごとのワクチン調達価格を見ておこう。

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出所)ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルなどを参考に筆者作成

EUは加盟国数や人口規模にモノを言わせて他の地域より低価格でワクチンを調達している。これがEUの掲げる人道主義の「正体」である。

AZワクチンの有効性は全人種・年齢でも同じ

アストラゼネカによると、アメリカでの第3相試験には3万2449人が参加し、このうち141人が発症した。被験者の割合はワクチン接種とプラセボ(偽薬)が2対1。ワクチンの有効性はどの人種や年齢でも一貫していた。

独立したデータ安全性監視委員会は血栓症や脳静脈洞血栓症(CVST)を調べた結果、少なくとも1回のワクチン接種を受けた2万1583人には血栓症やそれに関係したリスクは増加していなかった。CVSTは確認されなかった。

血栓の発生率は高くない
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