[ロンドン発]中国やロシアの領土的野心が浮き彫りになる中、世界の国防支出が過去最高になったことが5月2日、紛争や軍備を研究する有力シンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の調査で明らかになった。

世界最大の軍事大国アメリカは2008年から昨年にかけての10年間で国防支出を14%も減らしたのに対し、中国は110%も拡大しており、米中逆転が少しずつ現実味を帯びつつある。

世界の国防支出が「過去最高」とは言っても下のグラフをご覧いただくと分かるように、1999年から2011年にかけ右肩上がりでぐんぐん増えたものの、世界金融危機とその後、先進国の緊縮財政で12年以降は横ばい状態が続いている。

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昨年は前年比1.1%増の1兆7390億ドル(約191兆円)。16年の実質米ドルに換算すると1兆6859億ドルとなり、それまでの過去最高だった11年の1兆6845億ドルをほんの少しだけ上回った。

第2次冷戦が始まった

「アメリカは世界の警察官を止める」と宣言したバラク・オバマ前米大統領の軟弱外交のおかげで、中国の南シナ海や東シナ海への海洋進出、ロシアのクリミア併合に端を発するウクライナ危機、北朝鮮の核・ミサイル危機と地政学リスクが急激に高まった。

「ポスト冷戦」は終わりを告げ、「第二次冷戦」が始まったことを国防支出の拡大は物語っている。世界の国防支出の内訳は(1)アメリカ6100億ドル(2)中国2280億ドル(3)サウジアラビア694億ドル(4)ロシア663億ドル(5)インド639億ドル。フランスとイギリスは6位と7位にとどまり、日本は8位の454億ドル(約4兆9800億円)。

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トップ15に中国、インド、日本、韓国、オーストラリアの5カ国が入り、中国の軍備増強や北朝鮮の核・ミサイル開発がアジア・オセアニア地域に緊張をもたらしている現状を浮かび上がらせた。

国防支出で見た先進国と新興国の逆転はすでに顕在化しており、北大西洋条約機構(NATO)や日米同盟、米韓同盟を軸にした西側諸国のさらなる結束が求められている。

2016年から17年にかけての国防支出の増減では(1)ルーマニア50%増(8)キプロス22%増(9)リトアニア21%増(11)ラトビア21%増(15)ルクセンブルク19%増とロシアの脅威に怯える欧州勢と、(10)フィリピン21%増(12)カンボジア21%増と中国の台頭が著しいアジア勢の軍備増強が目立った。

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