対局前のイ・セドル九段は、公営放送KBSのインタビューで「グーグルから対局を持ち込まれた。対局相手が誰なのかは秘密保持の署名をしてから教えてくれた。相手が機械だなんて、本当に驚いた」と答えた。対局前の記者会見では、「コンピューターと人間が対局するのはまだ10年は先の話だと思っていたのに、(人工知能との)対局を持ち込まれて驚いた。3分ほど悩んで受け入れた。(人工知能に対する)好奇心を解決するためには直接囲碁をしてみるのが一番だと思ったからだ。今回の対局はすごい経験で、学ぶことはとても多い」と期待に胸を膨らませていた。対局に負けた時も、「対局を大いに楽しんだ。応援してくれた皆さんに感謝します」とすっきりした表情だった。
グーグルと一緒に今回の対局を準備した韓国棋院(韓国の囲碁の統括団体)は、もう一度AlphaGoと人間の対局をしようとグーグルディープマインドに提案した。グーグルディープマインド側は、「持ち帰ってグーグル本社と相談させていただきます」と即答を避けたそうだ。韓国棋院はAlphaGoが新しい囲碁の戦略を見せたことを高く評価し、「名誉九段」の認証書を贈呈した。
対局が終わってから、もう一つ人工知能とも囲碁とも関連がないものが話題になった。イ・セドル九段のスポンサーであるLG電子の控えめな広告が、対局が終わってからSNSで「もしかしてあれはLG電子の広告だったのか?」と話題になったのだ。
イ・セドル九段が着用した時計はLG電子の新しいスマートウォッチで、毎日着ていたブルーのワイシャツの袖にはLG電子のスマートフォンである「G5」の文字が刺繍されてあった。ケーブルテレビやポータルサイトの生中継にはLG電子の広告が入っていたので気付いた人もいたようだが、地上波放送で視聴した人は全然気づかなかった。LG電子側は「イ・セドル九段の邪魔にならないようロゴを控えめにした」と説明した。これが口コミで広がりLG電子の好感度を上げた。LG電子は1996年から、世界囲碁選手権大会のメインスポンサーになり「LG杯世界棋王選」を開催している。