日本でも保護主義的価値観は社会に広く浸透している

自由貿易の理論に従えば、不得意なモノを生産するのは非効率なので、政策として選択すべきではない。

だが人間というのは感情を持つ厄介な動物であり、現実はそうなっていない。自由貿易体制で大きな利益を得てきた日本ですら、保護主義的価値観は社会に広く浸透している。例えば航空機や半導体の分野はその象徴と言えるだろう。

航空機産業には、航空機本体の製造と、部品・素材という2つの分野がある。日本は航空機を製造するのが不得意であり、部品や素材の製造を得意としている。逆にアメリカは航空機本体の製造が得意だ。

そうであれば、日本が航空機本体を開発・製造するのは非合理的であり、部品や素材に特化すればよいとの結論になる。高性能半導体も同様で、日本が最も不得意とする分野の1つであり、必要な製品は輸入したほうが圧倒的に効率的である。

だが日本はジェット旅客機の国産化にこだわり、国費まで投入してメーカーを支援したもののプロジェクトは失敗した。高性能半導体についても、数兆円の国費を投入して国産品を開発し、世界市場に打って出ようとしている。

自由貿易の理論的には「無意味」な輸出振興策
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