今回の日本側の提案は、実は「定石どおり」

日本製鉄によるUSスチール買収に対しても、一貫して反対の意向を示してきた。トランプ氏は交渉好きとされ、一連の要求は別の要求を通すための材料にすぎないとの見方もあるが、トランプ氏の真意がどこにあるのか分からないため、日米交渉は難航が予想された。

過去の日米交渉を振り返ると、貿易赤字が問題視された場合、日本の輸入枠拡大や現地生産化などで乗り切るケースが多かった。今回もトヨタなど日本メーカーによる工場建設や、アメリカ産天然ガスの輸入拡大を提案しており、定石どおりの展開とも言える。

だが、今の日本にとって安価なエネルギー調達先の確保は喫緊の課題であることに加え、合意内容にはアラスカ州における石油・天然ガスの合弁事業も含まれているので、日本企業にとっても利益が大きい。

また、今のアメリカは「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」一色となっており、名門企業であるUSスチールを日本人が完全買収することへの抵抗感は強い。最終的な同社への出資条件はこれから詰めることになるが、経営権の完全取得を回避するスキームのほうが政治的に軋轢が少ないことは言うまでもない。

トップ会談の成功が日本にもたらすもの
【関連記事】