日米独のマネーサプライ(現マネーストック)は71年以降、急増しており、市場はジャブジャブのマネーであふれ返っていた。このタイミングで産油国が強引に原油価格を引き上げたことから、インフレが一気に加速したというのが事の真相である。

今回の物価上昇も、1次産品の値上がりに加え、コロナ後の景気回復期待、新興国の経済成長による需要増、米中分断による調達コストの上昇、量的緩和策など、多くの要因が関係している。

インフレが進む時というのは、貨幣要因と複数のコスト要因が絡み合うものであり、単純に上がっている製品の価格を抑制しても十分な効果は得られない。供給に制限があるなかで、無理に需要を拡大するとインフレを加速させるリスクがあり、景気が悪化したからといって安易な財政出動も選択しにくい。

インフレの厄介なところはまさにこの部分であり、それ故に各国政府はインフレ対策に苦慮してきた。

インフレがどの程度進むか現時点では分からないが、仮に物価上昇が本格化した場合、対応はかなり難しくなると思ったほうがいいだろう。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 進化する世界の鉄道
2026年10月20日号(10月14日発売)は「進化する世界の鉄道」特集。

鉄道黄金期を迎えたヨーロッパを旅する――コリン・ジョイス(ジャーナリスト)/豪快かつ特異なアメリカ大陸鉄道史/膨張する中国鉄路の野望/「夢の超特急」リニアの現実/韓国、アフリカ、インド……世界を駆ける鉄道新事情

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます