今やIT関連予算は年間数千億円ともいわれ、予算を組織の生命線とする各官庁にとって手放せない権益になっている。これまでITシステムは各府省がバラバラに発注しており、類似システムであっても、事業者は府省ごとにシステムを納入していた。ソフトウエアは複製が簡単なので、事業者にとっては極めて低コストで商品を販売できることを意味している。

だが、デジタル庁が本格稼働すれば、システム発注はデジタル庁に一元化されるので、事業者は大きな利益を失う。各府省にとっても予算をデジタル庁に奪われるという図式であり、基本的に得することはない。これは行政のスリム化そのものであり、縮小する予算や権限をめぐって事業者間や官庁間で壮絶な権益争いが生じても不思議ではない。

平井氏がIT業界に精通していることや、事業者にとって危機的状況であること、デジタル庁が菅政権の肝煎り政策であること、音声が外部流出したことなどを総合すると、もっと根が深い問題である可能性が高いだろう。

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