一方、何千社もある上場企業の大半はごく普通の企業であり、こうした企業の経営に求められる資質は、経営学の知見や過去の経験などからほぼ確立している。スキルマトリックスで定義されている基本的な資質項目を持ち、加えてITやグローバル化など時代に即した能力を備えていれば相応の成果を出せるはずだ。

諸外国では大学院でMBA(経営学修士号)を取得した人物をトップに据えるケースも多いが、それも同じ理由である。MBAホルダーの経営者は教科書的なことしかできないとの批判があるが、99%の企業に求められているのは教科書的マネジメントである。MBAを取得したからといって天才経営者になれるわけではないが、必要最小限のスキルは獲得できる。

特に日本の場合、年功序列で従業員から昇進する役員が多く、プロ経営者としての資質に欠け、教科書的マネジメントすらままならないケースも多い。スキルマトリックスが定着すれば、専門性を重視せざるを得ないので、なれ合い人事を抑制する効果をもたらすだろう。

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