ところが、脱炭素シフトの必要性から、これを例外適用すべきとの議論が盛り上がっている。もしバイデン政権が国境炭素税を導入すれば、トランプ政権が実施した中国に対する高関税の対象や製品が替わるだけで、事実上、保護貿易が継続される可能性が高まってくる。

菅政権は2050年までの温暖化ガス排出量実質ゼロ宣言を行い、日本もようやく脱炭素シフトに舵を切り始めた。

だが日本の環境規制は欧州などと比較すると甘く、アメリカが本格的に脱炭素シフトを進めた場合、中国からの輸入品に加え、日本からの輸入品についても高関税が課される可能性が否定できない。政府調達における外国製品の採用比率も下がってしまえば、まさにダブルパンチである。

アメリカの保護主義的傾向は今に始まったことではなく、オバマ政権時代あたりからかなり顕著となっていた(オバマ元大統領自身は過度に保護主義にならないよう留意していた)。在日米軍や在韓米軍の撤退論もこの頃から本格化しているという現実を考え合わせると、これは長期的な動きであり、今だけの現象とは考えないほうがよい。

日本は米市場に製品を輸出することで経済を成り立たせてきたが、アメリカに対してはいつでも自由に輸出できるという感覚は改めたほうがよい。

<本誌2021年3月2日号掲載>

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