もっとも、この変化は中長期的なものであり、足元の景気に直結するわけではない。短期的にみると、昨年の反動から景気は持ち直すとみる専門家は多く、日本のGDPもプラス成長が予想されている。

だが、これは大きく落ち込んだ後のプラスなので、GDPの絶対値はコロナ前との比較でマイナス水準であることに変わりはない。さらに言えば、このGDP予想は、この冬の感染が深刻な状況にならず、オリンピックも無事開催されるという前提条件付きである。

一連の前提条件が崩れ、緊急事態宣言の発動などより厳しい措置が実施された場合には、昨年と同様、経済は大打撃を被ることになる。その場合には10兆円から20兆円程度のマイナスを覚悟する必要があるだろう。

仮にプラス成長が実現しても、一部の業種を除き、企業の設備投資は抑制的なスタンスが続く。市場が急拡大する要因はあまり見当たらないので、企業は組織のスリム化をさらに進める可能性が高い。

卸や製造業など、消費者と直接やりとりしない業界でも、希望退職などリストラに踏み切るケースが増えると予想される。今年は、足元の景気動向と市場の期待値との乖離が昨年以上に進み、先が読みにくい1年となるだろう。

<本誌2021年1月5日発売号掲載>

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