しかも脱炭素と社会のIT化は連動しており、従来の集中電力システムからITを駆使した分散電力システムへの転換が進み、従来の産業秩序が激変する可能性も指摘される。コロナ危機は、石油を大量消費し、人やモノが世界を行き交う従来の経済システムを見直すきっかけとなっており、市場はこうした変化を先取りしている可能性がある。

これはどちらかというとポジティブな要因だが、インフレ懸念はその逆だ。各国はコロナ危機で大規模な財政出動を余儀なくされており、バイデン政権の誕生でアメリカの財政赤字が拡大するのはほぼ確実である。経済学の常識として、財政悪化は金利上昇とインフレをもたらすので、不動産など一部の銘柄はインフレ・ヘッジを目的に積極的に買われることになる。

過度なインフレと金利上昇は景気には逆効果だが、長期的には名目上の株価を押し上げる効果があることに変わりはない。今回の株高は複数の要因が絡み合った相場であり、目先、過熱感から下落に転じることはあっても、意外と長く続くかもしれない。

<本誌2020年12月8日号掲載>

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