ゴーティエの作品の大半は、そうした東南アジアの日常を切り取った白黒写真だ。その多くはザラつき、同時に東南アジア特有の湿ったような空気が作品に絡み付いている。ワイルドさもある。だが暴力的な匂いはない。むしろ親しみやすさ、あるいは、被写体と写し手側である彼自身との間に存在する親近感が心地よく漂っている。
実際、自らの写真にとって最も重要なことは、「被写体の周りに存在するエモーショナルな感覚」だと彼は言う。「それを本能的に内面から切り取りたい」
また撮影は、そこで人々に出会い、自分自身がもはや見知らぬ人ではなく、彼らの生活の一部になることでもあるそうだ。
むろん、未知の国では困難もある。ひとつは言葉だ。また、どれだけ時間を掛けても東南アジアの文化を完全には理解できないとも語る。加えて、カメラを通して地元の人々に敬意を払う方法を確立できていない、とも。
当初から、まるで自分がこの土地で生まれたようだ、という感覚を味わいながらも、同時に完全には同化できない自分も存在しているのである。
そうした中、2008年にフランスに戻ることになった。だが数年後、それは新たな作品を生み出していくことに繋がる。「ANIMA」という動物シリーズだ。彼が今まで撮ってきたさまざまな写真の中にある関係性、そして彼自身と、われわれ人間社会の中にあるリンケージを探求する中でつくられた作品である。
「ANIMA(動物シリーズ)は、アジアの仏教文化における日常の中で動物たちがいかに重要な役割を担っているかを表している。シンボルになっているのだ。それは人間の魂であり、動物たちの魂であり、自然界の魂でもある」と彼は語る。「私がアジア諸国を旅する中で見つけ出したユニークな精神性だ」
すでに最初の「ANIMA」は完成し、9月には「ANIMA II」のシリーズもパリで展示されることになっている(Note: 最後の写真はその展示会の案内)。
今回紹介したInstagramフォトグラファー:
Florian Gautier @flypicture0

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