<2016年世界報道写真コンテストのネイチャー部門で入賞した上の写真を撮ったのは、メキシコの社会人類学者アニュアー・パットハネ。なぜ人類学者がこれほど優れた海洋写真を撮れるのだろうか?>

 人類学と写真ほど似通っているものはないかもしれない。目的論的に言えばどちらもその核となるのは、人間と、それに絡む環境、社会、文化についての探求である。その探求を通して、いったい人間とは何であるかを追い求めているのだ。そのためか、時として人類学をバッググラウンドに持つ優れた写真家に出会う。今回紹介するメキシコの社会人類学者アニュアー・パットハネもその一人だ。

 水中写真、海洋写真を中心にインスタグラムで作品を発表している。ソニーの小型カメラ(Sony Cyber-shot DSC-RX100)を使ってメキシコのレビジャヒヘド諸島海域で撮影した作品「ささやくクジラたち」は、今年のワールド・プレス・フォト(世界報道写真コンテスト)のネイチャー部門シングル(単写真)に入賞している。水面下で太陽光がつくり出す幻想的な光を巧みに捉え、その中でザトウクジラの母親と生まれたばかりの子クジラとが戯れて泳いでいる白黒写真だ(冒頭の写真)。

 海に興味を持ち、ダイビングを始めるようになったのは、自らもダイビングをしていた海洋生物学者の母親の影響らしい。そして、ダイビングの世界を知れば知るほどその魅力にはまっていったという。写真の方はというと、大学で文化人類学を専攻していた22 歳の頃、フォトドキュメンタリーのコースを取ったことがきっかけだ。だが、水中撮影に本格的に興味を持ち出したのは、わずか4年前、2012年のガラパゴス諸島でのダイビングからである。

Exploring the depths of Plataforma Tiburon, an abandoned oil pumping platform in the Mexican gulf near Tamiahua, Mexico.

Anuar Patjane Floriukさん(@anuarpatjane)が投稿した写真 -

「メキシコ湾に廃棄された石油リグ」
光の芸術家としての力量