ギリシャのパパンドレウ首相は、このネタを、このタイミングで使おうと思っていたに違いない。

 財政危機に陥っているギリシャは先週23日、ついにEU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)に緊急融資を要請した。パパンドレウは訪問中の小島から中継されたテレビ演説で、同国の前途を得意のギリシャ神話に例えた


「私たちは困難な航路に入った。ギリシャにとって新たなオデュッセイアだ。しかし私たちはイタケへの行き方を知っているし、海図も描いてある」

 オデュッセイアは、古代ギリシャの詩人ホメロスが英雄オデュッセウスの大冒険を描いた叙事詩。オデュッセウスは、長く困難な航海の末にようやく故郷のイタケ島にたどり着く。

 パパンドレウは、2月のドイツ誌とのインタビューでも自国の困難をオデュッセイアに例えている。ドラマチックで愛国心に訴えそうで、世界にも通用する例え話なので、よほど気に入ったのだろう。

 EUとIMFの支援には厳しい財政再建の条件が付くはずだ。今後何年にもわたってきつい生活を強いられる国民は、パパンドレウのドラマチックな演説に感動するどころか猛反発している。

 昨年秋の選挙で政権を奪われた新民主主義党のサマラス党首は、まるでひとごとのように揚げ足を取った。「パパンドレウは新たなオデュッセイアと言ったが、その航海がどれほど長くなるかは神のみぞ知るだろう」

 前政権の財政赤字「粉飾」が今の危機を引き起こしたというのに、いやはや。

──編集部・山際博士

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