具体的には公的補助金付きの低所得者向け住宅の家賃凍結からスタートするので、影響は限られるのかもしれません。ですが、仮に大好評だったりしますと、不動産価格の下落を招くなど影響は大きくなります。また、本当に多くの億万長者が、住みにくくなったニューヨークを嫌って出ていくようですと、市内全域の不動産相場は崩れていくでしょう。住宅、オフィスともにその可能性はあります。

その背景には不動産バブルという実態があります。実はNY市内も、東京と同様に世界中の投機資金が流入しており、これが不動産開発ブームになっています。例えば、昔は目立っていたエンパイア・ステート・ビルが、今では多くの「ペンシル・ビル(鉛筆のように細長いタワマン)」に埋もれてしまうなど、ここ20年にわたって市内全域で開発が続いています。

一方で勤労者がテレワークの権利を放そうとしない中でのオフィス需要の低迷があり、あまりにも高騰した家賃のための入居率の頭打ちという状況もあります。つまり、不動産の市況についていえば、東京に似たようなバブルな状況があります。そんな中で、マムダニ市政の家賃凍結が「成功」してしまい、不動産相場の低迷が始まると、相場が一気に暴落する可能性もあります。

ここからは仮の話ですが、そのようなNYでの暴落が東京へと引火する可能性はあります。勿論、「東京に住めない問題」の解決になるのであれば、暴落を歓迎する人は多いかもしれません。ですが、ゆっくりと下落するのならともかく、バブル化した高値というのは、往々にして急速な価格の下落を引き起こします。そうなれば、国内経済全体の大きな減速が起きるかもしれません。そう考えると、ニューヨークにおける急進左派市長の登場は、日本にとって全くの他人事でもないのです。

【関連記事】
NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショックの行方は?
AI就職氷河期が米Z世代を直撃している

ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます