そうなれば、学ぶ側のモチベーションも高いものが必要です。20歳前後で、例えば法務を志すのであれば、21世紀の多国籍企業における業績開示と技術的な守秘義務の「対立と解決」などのテーマに、それこそ音楽やスポーツに取り組むように目を輝かせて学習するような若者が出現することが期待されますし、またそうした若者を育んでいかねばなりません。

会計学であれば、アメリカの会計と税務、EUの会計と税務に精通して適切な決算処理と業績開示を行う実務スキルについて、それこそクラシックのピアノを練習して、コンクールに勝つレベルに持っていくのと同じ、目の輝きと努力の投入ができる若者が、これまた必要です。

そうなれば、ビジネスの世界への参画も「でもしか」オフィスワーカーのような、消極的選択ではなく、アートやスポーツと同じ強い自己モチベーションと、猛烈な訓練による基礎スキルの習得を可能にする積極的な選択になるに違いありません。そのように、ビジネスがアクティブで批判精神の躍動するような知的活動の場になってはじめて、日本も21世紀型の先進国社会に手が届き、OECD加盟国の中で恥ずかしくない生産性を上げることができるでしょう。

仮にそんな社会になれば、「夢を諦めれば食えるようになる」というようなニヒリズムの生き残る場はなくなります。もちろん、それが行き過ぎれば「何も持たず、どこにも居場所のない」層を生み出すことになり、アメリカのような現状否定勢力が暴走するという弊害も出てきます。そうなのですが、日本はまずは現在の停滞を打破するためにも、高いモチベーションを持ったビジネス専門職を養成する段階に進むべきです。

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