そんな中で、例えば、民主党左派の人気政治家であるバーニー・サンダース上院議員の場合は、自分自身がユダヤ系であり、若き日にはイスラエルの入植地での労働に従事しながら自分のアイデンティティーを見つめたという経歴が知られています。そのサンダース議員が、ガザ地区への侵攻を続けるネタニヤフ政権と、これを支援しつつ引きずられているバイデン政権の姿を批判するというのは、Z世代の心に確実に「刺さる」のです。

このバイデン離れを起こしつつあるZ世代の「イスラエル批判票」はどこへ行くのか、これは2024年の大統領選を左右する要素になると思います。仮にこのまま、バイデンがイスラエル寄りで、同時に情勢には受け身の姿勢、そしてガザ地区の情勢が改善しない場合には、まず多くの票が棄権に向かうかもしれません。そうなれば、バイデンには大きな痛手になります。

気になるのが、独自路線で無所属に転じたロバート・ケネディ・ジュニア氏の動向です。幼少時に「陰謀によって伯父と父を殺された」同氏は、熱心な陰謀論者であり、特に新型コロナのワクチンを「大量殺戮」だとする陰謀論で知られています。ですから、トランプ支持者の中からQアノン系などの票を奪うことで、むしろバイデンの援護射撃になると思われていました。

では、今回のイスラエル・ハマス戦争に関してはどうかというと、どうも歯切れが悪いのです。ケネディ氏は紛争初期にハマスのテロを強く批判していましたが、以降はこの問題を取り上げるのを避けています。彼なりに、中東問題ではイスラエル擁護をするというのが、信念になっているようなのです。

ということは、この問題に関するバイデン批判票の受け皿にはなりそうもありません。そうなると、この巨大な票の塊は宙に浮くことになります。もしかしたら、民主党内はにわかに激しい内紛状態になる、大統領選も無風状態から突如激戦になるという可能性も全くは否定できないのです。

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