一方のイランでは、長年続いた「経済制裁」で経済は疲弊しています。そんな中で、米欧との核合意によって制裁が解除され、国際市場へ向けた原油の輸出を再開出来れば、国民の生活水準の向上が可能となり、世論の不満も沈静化できる「はず」でした。ですが、進行する原油安は、そうした期待に逆行する動きをしています。
サウジと比較すると、イランは大国です。ペルシャ帝国以来の伝統を掲げ、誇り高い独自言語を話す国民を8000万人近く養っていかねばなりません。こちらもサウジ同様に、石油に依存しない経済を、それも規模の大きな経済を作っていかねばならないのです。核合意というのは、「石油輸出が再開できるチャンス」というよりも「西側との交流を深くして、高付加価値の産業を育むスタート地点」として考え直すべきなのだと思います。
そう考えると、年明け早々にこうした「湾岸緊張のドラマ」が発生し、市場に見事に「突き放された」というのは、悪いことではないと思います。「原油価格戦争」のバカバカしさに早く両国が気づいて、「もっとカタギの商売」で生きていくように産業構造の転換へと動くキッカケになれば、それはそれで良いことだからです。