[香港 12日 ロイター] - インターネット経由の資金調達は小規模企業や新興企業の間で急速に普及しつつあるが、中国では不動産開発会社(デベロッパー)という極めてめずらしい利用者が登場してきた。彼らは、従来の調達手段で資金確保が難しくなっているためだ。
中国の不動産市場が急激に冷え込んだ2014年初め以前は、デベロッパーは、信託会社からの借り入れに大きく依存していた。信託貸付は、同国に存在する巨大なシャドーバンキング(影の銀行)の一翼を担っている。ところが今年に入ってからは、信託会社が集めた資金のうち不動産開発業界に回されたのはたった10%で、前年同期の30%を下回った。
その理由の1つは、企業や富裕な個人から出資してもらって高金利で融資を行う信託会社自体が、当局の監視強化によって資金を集めにくくなっているという事情だ。さらに信託会社は、減速が続く不動産セクターに融資する意欲を低下させている面もある。
デベロッパーは、信託会社からの借り入れ減少分を「P2P融資」や「クラウドファンディング」といった形のネット調達で穴埋めしようとしている。
緑地集団<0337.HK>のゼネラルマネジャー、ウィリアム・フアン氏は「(不動産向けの)昨年の信託貸付市場規模は数兆元との見積もりだった。これを最終的にネット調達で置き換えることを狙っている」と語った。
ネット調達市場がこれほどの大きさになるまでにはまだ相当長い時間がかかりそうだが、業界専門家によると今年の規模は3500億元(560億ドル)と3倍を超える成長が見込まれている。
緑地集団は4月、P2Pの調達会社を設立してプロジェクト資金として総額4億5000万元を確保。今年全体では50億─80億元の調達を目指すとともに、今月からは他のデベロッパーのための資金も集める方針だ。
ただし未成熟のネット調達市場にはシステミックリスクも伴う。中国国際経済交流センターのディレクター、Xu Hongcai氏は「情報の非対称性と不十分なリスク管理がネット調達市場の成長を阻むことになる」と警告する。
人民銀行(中央銀行)も懸念を示し、金融監督当局筋によると政府は年内に業界向けの規制を導入する見通しだ。
<クラウドファンディング>
一方で5月終わりには、万科企業<2202.HK>や緑地集団、碧桂園(カントリー・ガーデン)<2007.HK>、世茂房地産(シーマオ・プロパティ・ホールディングス)<0813.HK>、緑城中国(グリーンタウン・チャイナ)<3900.HK>といった有力デベロッパーが共同でクラウドファンディングの取引プラットフォーム立ち上げた。運営は大手保険の平安保険集団が手掛ける。
デベロッパーが利用しているクラウドファンディングのモデルでは、出資者が併せて不動産を購入すればより高いリターンが提供される。
デベロッパー最大手の万科企業は昨年11月、初めてクラウドファンディングを使って1600万元を調達し、出資者には年間4%のリターンを提供した。
同社は「クラウドファンディングによって各社は比較的コストの安い借り換え手段と同時に、実際のプロジェクトを開始する数カ月前に一定の顧客グループも確保できる。これによって市場の変動に起因した販売リスクを下げられる」と評価している。
別の大手の大連万達は12日に初めてのクラウドファンディングを開始し、数十億元の借り換えを目指す。
またより規模が小さい当代置業<1107.HK>は、今年これまでに6回のクラウドファンディングを通じて4500万元を調達。もしも今後すべてのプロジェクトをクラウドファンディングで資金調達できれば、総コストを15%削減できるとみている。
(Clare Jim記者)